円高が投資商品に与える影響は?円高時の値動きやおすすめ投資法も紹介

円高・円安といった為替の変動は投資商品の値動きに大きな影響を与えます。株や投資信託・不動産などにすでに投資をしている人や、今後投資を検討している人も多いかと思いますが、円高になると投資商品にどのような影響があるのでしょうか。また、円高に対応するためにはどのような投資法がおすすめなのでしょうか。

この記事では、円高がそれぞれの投資商品に与える影響や、円高に対応するための投資法についてご紹介します。

・目次


円安・円高と投資との関係は?

円高・円安とは、「円という通貨の価値」が上がる、下がるということを意味します。

 ● 円の価値が上がる・・・円高
 ● 円の価値が下がる・・・円安

例えば、「1ドル140円」から「1ドル142円」になった場合、1ドルを交換するのに2円多く必要になります。

1ドルを交換するのに、より多い日本円が必要になった、つまり円の価値が下がったということで「円安になった」という言い方をします。

円高や円安を「どの時点を基準にして判断するか」についてですが、一般的に前日の為替レートと比較して判断します。

また、10月は140円台で為替が動いていたのに、11月は150円台の日が多かったという場合は「10月に比べて、11月は円安傾向だ」という言い方もします。

日本では、円高になると利益が減ってしまう企業が多いため、「円高になると株安になる」と言われています。

ただし、米ドルなど外貨建ての投資商品は、円高だとより安く購入できるため、買い時ともいえます。

円高だと日本の株価は安くなる傾向があるが、外貨建ての投資商品を買うには良いタイミングであると覚えておきましょう。


円高・円安の今後の見通しは?為替に影響を与える要素を紹介

為替レートは毎日動いており、円高の日があれば、円安の日もあります。

日々の為替レートにそこまで神経質になる必要はありませんが、自分で将来の見通しを立てながら投資することが大切です。

ここでは、「今後円安になるか、円高になるのか?」の判断基準となる、為替に影響を与える5つの要素について紹介します。

アメリカとの金利差

円高・円安という為替の動きに、最も影響があると考えられているのが、アメリカとの金利差です。

2024年10月の時点では、日本と比較してアメリカの金利が3%ほど高くなっています。

アメリカの金利が高いと、外貨預金やアメリカの債券に対する投資意欲が高くなります。

その結果、日本円を売って米ドルを買い、その米ドルで投資をするという動きが強くなるため、円安ドル高になります。

アメリカでは、コロナで多くの企業が倒産の危機に瀕したため、政府が市場に多くのお金を投入しました。その影響でインフレが進み、物価が高くなって人々の生活が苦しくなってきたため、インフレを抑え込むために金利を上げてきたという背景があります。

ただ、最近は、景気に不安を感じるようなデータや、インフレが終息に向かっていると考えられるデータが発表されていることから、今後は金利を段階的に下げていくと考えられています。

アメリカの金利が下がるということは、「円を売ってドルを買い、ドル建ての金融商品を買いたい」という人が減ると考えられることから、円高傾向になると考えられます。

また、日本では長年にわたり低金利が続いてきましたが、物価が上昇しているといったデータ等を踏まえ、日銀が「様子を見ながら金利を上げていく可能性がある」と発表しています。

時の政権によっては、「金利を上げるな」という圧力を日銀にかけていた例もありますが、今後は日銀の独立性を尊重する政策がとられると考えられるため、日銀の判断で、日本の金利が上がる可能性も高くなっています。

日本の金利が上がれば、アメリカとの金利差は小さくなり、より円高になる可能性が高くなります。

アメリカの金利が下がる、もしくは日本の金利が上がって日米の金利差が狭まると、円高傾向になると覚えておきましょう。

NISAの外国株や投資信託(外貨建て)の購入

NISAや積立NISAでは、自分の考えに合った投資商品を自由に選べます。

ただ、ここ数年で円安が急激に進んでいたこともあり、米国株式や、米国もしくは世界の株式に投資する、米ドル建ての投資信託が人気です。

米ドル建ての投資商品を買う人が多いということは、円を売ってドルを買い、そのドルで投資商品を買うという流れになるため、円安ドル高の要因になります。

2024年9月の積立NISAの流入ベスト10では、1位~4位までが米国株・もしくは全世界株式に投資する投資信託となっており、1か月の流入額は約3,800億円にのぼります。

毎月数千億円規模で、NISA由来のドル買い・円売りがあるということなので、これも円安要因になります。

ただし、積立NISAでは、投資する投資信託の種類をいつでも変更できる仕組みです。

今後、「円高の流れが継続する」「日本株が外国株よりも値上がりする」と多くの人が考えた場合は、積立NISA の主流の投資先が日本株になっていくことも十分考えられます。

積立NISAの流入は毎月発表されていますので、どのような投資信託が買われているのか、傾向をつかんでおくと良いでしょう。

クラウドサービスの利用料金

近年はアマゾンプライムやネットフリックスが人気です。これらはアメリカの企業のため、日本の利用者から受け取った利用料をドルに換える、つまり円安ドル高の要因になります。

また、appleやGoogleのストレージサービスを利用する人も多く、これらの利用料も同じく、最終的にはドルに変換されるため、円安ドル高の要因になります。

特にクラウドストレージサービスは、ほとんどの人が継続的に利用します。これらのサービス利用料も、長期的な円安ドル高要因になると覚えておきましょう。

地政学リスク

地政学リスクとは、ある国や地域で戦争が起こったり、軍事的な緊張が高まったりした場合に、経済や為替の動きが不透明になることをいいます。

今までは、中東など世界のどこかで争いが起こった場合は「有事の円買い」が起こり、世界のマネーで円が買われて円高になる傾向がありました。

しかし、ここ数年は有事の際も円が買われず、円高にならない状況が続いています。

今後は、世界のどこかで軍事的な緊張が高まっても「有事の円買いはない」という想定で、為替レートを予想したほうが良いでしょう。

また、今後中国と台湾の関係が悪化した場合は、日本は軍事的な緊張が高まる地域にあることから、逆に円が売られる可能性があります。

有事の円買いがなくなりつつあること、日本を取り巻くアジアで軍事的な緊張が高まった場合は、逆に円売りにつながって円安になる可能性が高いことも念頭においておきましょう。


円高が投資に与える影響は?投資商品ごとに紹介

投資商品によっては、以下のように円高になった場合にメリットがあるものと、円高が逆にデメリットになってしまうものがあります。

 投資商品

 購入する

 売却する

 日本株式

 △(銘柄による)

 △(銘柄による)

 外国株式

 〇(安く買える)

 ×(円での資産価値が下がる)

 日本株投資信託

 △(投資信託による)

 △(投資信託による)

 外貨建て投資信託

 〇(安く買える)

 ×(資産価値が下がる)

 外貨建ての保険

 〇(保険料が安くなる)

 ×(解約返戻金や保険金は下がる)

 外貨預金

 〇(多くのドルを買える)

 ×(為替損で元本割れすることも)

 金

 〇(安く買える)

 ×(円での資産価値は下がる)

 不動産(日本)

 〇価格が下がり買いやすくなる

 △資産価値は下がる

 不動産(海外)

 〇円高効果で安く買える

 ×円建ての資産価値は下がる


それでは、円高の影響について、投資商品ごとに紹介します。

日本株式

日本では円安でメリットを得る「輸出企業」が多いとされており、円高では業績が悪化する企業が多いことから、日本株全体としては「円高で株安になる」と言われています。

「輸出企業」は、円高が進むと、日本からの輸出品の現地価格が高くなるため、海外で売れにくくなるというデメリットがあります。

逆に円安だと、現地価格が安くなるので、売り上げが伸びること、ドルを円に換えた際により多くの円を受け取れることから、利益が増える傾向があります。

為替の変動に対して、企業の売上高や利益がどれくらい影響を受けるかということを示す指標を「為替感応度」といいます。

例えば、トヨタの為替感応度は1ドル500億円程度とされており、1円円安になれば500億円利益に上乗せされることになります。逆に、円高が進むと利益が大幅に減ってしまう可能性が高くなります。

長期的な円高は輸出企業にとってマイナスで、株価が下がるケースも多いと覚えておきましょう。

それに対して、円高でメリットがあるのは、輸入企業です。海外の商品や物資を、今までよりも安い価格で買えることになるため、コストが下がり、その分利益が増えることになります。

また、情報サービス業など、輸出入とあまり関連がない企業も、円高の影響を受けにくく、株価が下がりにくいという特徴があります。

外国株式

外国株式とは、海外の企業が発行する株式のことをいいます。

外国株には米国株や中国株、オーストラリア株などがあり、日本円を現地通貨に交換し、株を買うという流れです。

円高になると、米ドルや豪ドル、中国元などと日本円を有利に交換できるため、外国株を買いやすくなります。

例えば、1株100ドルの外国株を買うのに、1ドル140円では14,000円必要ですが、1ドル130円になると13,000円で、より割安に買える計算です。

ただ、すでに外国株を保有している場合は、円高になると資産価値が減ってしまいます。

円高の場合、これから外国株を買う場合はメリットがあるが、すでに外国株を保有している場合は資産価値が下がると覚えておきましょう。

日本株投資信託

日本株投資信託とは、国内企業の株式のみに投資している投資信託のことをいいます。

日本株は、輸出企業・輸入企業によって円高時の値動きは異なるものの、全体では「円高では株安になる」という傾向があります。

特に、多くの輸出企業で構成されている「日経平均株価」に連動する投資信託は、円高で価格が下がる傾向があるため、注意が必要です。

同じ日本株投資信託でも、輸出ではなく「情報・通信業」や「サービス業」など、内需関連の株式の組み入れ比率が高いものは、円高でも手堅い値動きをするケースが多くなっています。

長期的な円高と予想される場面では、積立NISAの銘柄を、「内需関連銘柄を多く組み入れている投資信託」に変更するのも一つの方法です。

外貨建て投資信託

外貨建て投資信託とは、外国株式や債券に投資をしており、基準価格や分配金が外貨で表示される投資信託をいいます。

外貨建て投資信託は、円高では以下のような影響があります。

 ● 外貨建て投資信託を購入する際はメリットがある
 ● 逆に保有している外貨建て投資信託を売却する場合は、デメリットがある

それぞれ詳しく解説します。

外貨建て投資信託を購入する場合

外貨建て投資信託の基準価格が100ドルの場合に購入するケースを考えてみましょう。

1ドル150円から140円に為替レートが動いて円高になると、以下のように、同じ投資信託を1口あたり、割安な価格で購入できることになります。

 基準価額

 1ドル150円の場合

 1ドル140円の場合

 1口100ドルの場合

 15,000円

 14,000円


円高になると、投資信託をより安い価格で購入できることになるため、円高は「外貨建て投資信託を買い増す、良いタイミング」といえます。

外貨建て投資信託を売却する場合

基準価額が100ドルの外貨建て投資信託を100口(10,000ドル分)持っていて、売却する場合を考えてみましょう。

以下のように、保有している投資信託の口数は同じでも、1ドル150円から140円の円高になった場合、資産価値が下がります。

 基準価額100ドルの場合

 1ドル150円の場合

 1ドル140円の場合

 100口(10,000ドル相当)

 1,500,000円

 1,400,000円


今後も継続して、長期的な円高が続くと予想される場合は、時間が経つにつれて、資産価値がますます下がるリスクがあります。

長期的な円高が続くと予想される場合は、ある程度利益が出ているのであれば売却を検討してもよいでしょう。

円高が一時的で、再び円安傾向になると予想する場合は、投資信託を売却せずに保有しておくことをおすすめします。

外貨建ての保険

外貨建ての保険には、外貨建ての終身保険や、外貨建ての個人年金保険・養老保険などがあります。これらの保険は、保険金・保険料・解約返戻金すべてが外貨建てなのが特徴です。

例として、学資保険としても人気がある「外貨建て終身保険」で、死亡保険金が30,000ドルの商品をみてみましょう。

外貨建て終身保険の基本的な仕組みは、以下のようになっています。

 

 1ドル150円の場合

 1ドル140円の場合

 死亡保険金(30,000ドル)

 4,500,000円

 4,200,000円(減る)

 毎月の保険料120ドル

 18,000円/月

 16,800円/月(安くなる)

 解約返戻金(例として7,000ドルを想定)

 1,050,000円

 980,000円(減る)

※毎月の保険料や解約返戻金は、保険の設計によって変わります

このように、円高になると、毎月の保険料は安くなりますが、死亡保険金や解約返戻金はドル建てのため、価値は下がることになります。

積立タイプの終身保険は、払い込み満了までやめずに、積立を継続することが前提の商品です。

円高になっても円安になっても、払い込み期間が終わるまでは、変わらず積立を続けることをおすすめします。

外貨預金

外貨預金とは、外国の通貨を銀行に預け、利息も外貨で受け取る仕組みの預金です。

最も一般的なものは米ドル預金で、高い金利で運用できることが魅力です。

例えば、大手金融機関では、米ドル預金の1年物の適用利率は年4.2%です。同じ金融機関の円預金の利率は1年物0.125%となっており、ドル預金の利率は円預金の約34倍となっています。(2024年10月時点)

ここでは、2つのケースについて紹介します。

外貨預金をした後に円高になった場合

1ドル150円の時に100万円をドルに換えて(約6,666ドル)ドル預金に預け、1年後に元本と利息を受け取る場合をみてみましょう。

150円でスタートして、満期時に円高が進んだ場合、以下のように資産が目減りする可能性があります。

 1ドル150円で100万円を預け入れる場合

 

 元本

 約6,666ドル

 利息

 約280ドル

 元本+利息

 約6,946ドル

 1年後1ドル150円のまま

 約1,041,900円

 1年後1ドル140円(円高)

 約972,440円

※為替手数料や利息にかかる税金は考慮していません

このように、ドル預金を始めてから満期にかけて円高になると、高い利息をもらっても元本割れするリスクがあるため、注意が必要です。

円高のタイミングで外貨預金をスタートした場合

円高のタイミングで円をドルに換えると、より多くのドルを得られるというメリットがあります。

1ドル140円で100万円をドル預金にすると、元本は7,143ドルとなり、それに対するドル建ての利息も多くなります。

1ドル140円でドル預金をした場合のシミュレーションは以下のとおりです。

 1ドル140円で100万円を預け入れる場合

 

 元本

 約7,143ドル

 利息

 約300ドル

 元本+利息

 約7,443ドル

 1年後1ドル140円のまま

 約1,042,020円

 1年後1ドル150円(円安)

 約1,116,450円


このように、円高の際にドルを買い付けると、多くのドルを得られます。

また、満期時に円安になった場合は、為替差益も加わるため、より多くの利益を得られることになります。

短期的な円高と考える場合は、ドルを買い付けるチャンスととらえ、ドル預金をするのもひとつの方法です。

長期的な円高と予想する場合は、満期時に為替差損が出て元本割れする可能性もあるため、慎重に検討するようにしましょう。

金は世界中、さまざまな通貨で売買されていますが、世界の金の価格の基準となる価格は「ロコ・ロンドン・ゴールド価格」といい、米ドル建てです。

金の単位は「1トロイオンス(31.1035グラム)」で、1トロイオンスあたり何ドルか、が世界の金価格の基準になります。

例えば、(1トロイオンス当たりの)金価格が2500ドルのケースを考えてみると、以下のように円高のほうが割安に購入できることがわかります。

 金の価格

 1ドル150円の場合

 1ドル140円(円高)の場合

 2,500ドル

 375,000円

 350,000円


逆に、金をすでに保有している場合は、円高になると資産価値が目減りします。

金をできるだけ高い価格で売却したい場合は、円安のタイミングがおすすめです。

円高は、金を買うときは有利に働き、逆に金を売却するときにはマイナス材料になると覚えておきましょう。

日本では、1グラム当たりの金価格で表示されるケースが多くなっていますが、これは、1トロイオンスあたりの金価格を、31.1035gで割った数値となっています。

不動産(日本)

円高になると、国内不動産の価格が下がる傾向にあります。

その理由のひとつは、海外の投資家の動きです。

円高になると、海外の投資家にとっては日本の不動産の価格が上がることになるため、割安感がなくなります。

その結果、海外からの資金流入は少なくなり、特に都市部の不動産価格の下落要因になります。

住宅の建築コスト面では、円高になると海外からの資材をより安価で輸入できるため、新築物件の価格が安くなる傾向があり、その結果販売が伸びるケースが多くなっています。

ただ、新築物件の人気が高まって販売が増えると、逆に中古物件の価格が下がりやすくなるため注意が必要です。

円高では、新築物件・中古物件ともに価格が下がる傾向があるため、不動産をより安い価格で購入できるチャンスといえますが、売却するには良いタイミングとはいえません。

今後再び円安傾向になると予想される場合は、すぐに不動産を売却せず、円安になるまで様子をみてもよいでしょう。

ただし、不動産は株や投資信託・金などと違い、円高・円安が不動産価格に反映されるまで時間がかかる傾向にあります。

不動産は短期で売買する投資対象ではないため、売買はじっくりと検討して行うようにしましょう。

不動産(海外)

近年は、フィリピンやベトナムなど、海外不動産に投資する人も増えています。フィリピンやベトナムは人口が増加していて将来性があり、経済成長率が高いことなどが理由です。

円高になれば、フィリピンペソやベトナムドン建ての不動産を、より少ない日本円で買えることになるため、不動産購入を検討している場合はチャンスといえます。

今後も円高が進むと考える場合は、より安い価格で買える可能性が高まります。不動産は大きな投資なので、あせらずにゆっくりと検討すると良いでしょう。


円高のときに資産が増える投資商品はある?

円高の際に資産価値が増える可能性がある投資商品は、「輸入企業」や「情報・通信業」や「サービス業」など内需関連の株式、もしくはこれらの株式の組み入れ比率が高い投資信託です。

以下の投資商品は、円高で資産価値は減ってしまいますが、新たに投資をする場合は割安で始められるというメリットがあります。

 ● 日本株式(輸出がメインの企業)
 ● 外国株式
 ● 日本株投資信託(輸出企業を多く組み入れているもの)
 ● 外貨建て投資信託
 ● 外貨建ての保険
 ● 外貨預金
 ● 金
 ● 不動産(日本)
 ● 不動産(海外)

円高は、投資を始めたり、買い増しをしたり、不動産などの大きな投資をするには良いタイミングであると覚えておきましょう。


長期的な円高に対応するための投資法

日銀が段階的に金利を上げたり、アメリカが金利をより一層下げたりする場合は、長期的な円高になる可能性があります。

このような場合は、投資の仕方を柔軟に変えていくことも大切です。

ここでは、長期的な円高に対応するための投資法について解説します。

積立投資信託の種類を変更する

NISAやiDeCoの積立をすべて外貨建て投資信託にしている場合は、半分を日本株投資信託に変更するのもひとつの方法です。

日本円建てと米ドル建ての二種類の投資信託を積立てることでリスク分散でき、円安・円高のどちらにも対応しやすくなります。

もちろん、外貨建ての投資信託の積立をそのまま継続するという選択肢もあります。

円高の際は、より多くの口数を買い付けられることになります。

最終的に円安になると考える場合や、外国株の運用パフォーマンスのほうが将来性があると考える場合は、外貨建て投資信託100%のままで運用を継続しても良いでしょう。

円高メリットがある企業に投資する

円高でメリットがある企業、つまり「円高で業績が向上する企業の株式」に投資するのも良い方法です。

例えば、海外から水産物や小麦粉など、食材を輸入している企業は、輸入コストが下がるため、利益が増える可能性があります。

また、海外から材料を輸入する紙やパルプ銘柄も、円高メリットを受けやすい業種です。石油銘柄も、同じように原油をほぼ輸入に頼っていることから、やはり円高の恩恵を受けやすいと言えます。

外国株にすでに投資していてある程度利益が出ている場合は、一部を売却して日本株の購入を検討しても良いでしょう。

ただし、長期保有前提の外国株の場合は、すぐに売却する必要はありません。新たに投資する場合に、日本企業の株式を検討すると良いでしょう。

外貨建て資産を売却する

外国株や外貨建て投資信託、ドル建ての終身保険、金、海外不動産などは、円高が進めば進むほど、資産価値が下がる仕組みです。

将来円高か円安かを正確に予想することは難しいものの、「円安時代の利益をいったん利確する」という意味で、これらの外貨建て商品を売却するという方法もあります。

外貨建て資産と円建て資産の割合を検討する

外貨建て資産は円高では資産価値が減りますが、「円高に進むと思っていたら、円安になった」というケースもあります。

為替の動きを正確に予想することは難しいため、円高・円安のどちらにも対応できる方法として「円建てと外貨建てのものを50%:50%にする」という方法があります。

外貨建て重視、日本円建て重視など、自分で比率は自由に決められますので、納得できる割合を考えてみると良いでしょう。


一時的な円高と考える場合の投資方法

円高は一時的なもので、近々円安に戻ると予想する場合は、どのような投資法が適しているのでしょうか。ここでは3つの投資方法を紹介します。

外貨建て投資信託を追加購入する

一時的な円高の際は、外貨建て投資信託を割安な価格で買い増すチャンスです。

割安な価格でまとまった口数を追加購入することで、平均取得単価を下げることができます。平均取得単価が下がると、将来の売却時により多い利益を得られることになります。

外国株に一括投資する

一時的な円高の際は、すべての外貨建ての投資商品の買い時といえます。外国株式も例外ではありません。

例えば、1株200ドルの株式の場合、1ドル150円では30,000円必要なところを、1ドル140円だと28,000円で購入できます。

長期保有前提の場合、円高は外国株に一括投資するチャンスです。将来性がある企業を見極め、まとまった金額を投資しても良いでしょう。

海外不動産に一括投資する

海外不動産の購入を検討している場合は、一時的な円高のタイミングをうまく利用しましょう。不動産は単価が高いため、円高の際のメリットが大きくなります。

例えば、20万ドルの不動産の場合、1ドル150円だと3,000万円必要ですが、1ドル140円だと2,800万円となり、200万円も安く購入できることになります。

投資額が大きければ大きいほど、円高メリットは大きくなります。一時的な円高か、長期的なものかを判断することは難しい面もありますが、円高は割安で購入できる良いタイミングのため、真剣に検討することをおすすめします。


まとめ

円高が投資に与える影響としては、「日本で株安になりやすい」「外貨建ての投資商品を割安で買えるようになる」「外貨建ての資産価値は目減りする」の3つです。

一時的な円高の場合は、外貨建て投資商品の買い時と考え、投資信託を買い増したり、外国株に一括投資したりすることを検討しましょう。

長期的な円高が想定される場合は、外貨建て資産の比率を見直すことが大切です。また、円高でメリットがある企業や、為替レートに影響を受けにくい企業への分散投資を検討すると良いでしょう。