金投資の魅力とは?メリットやデメリット、銀・プラチナとの違いも解説
資産運用のひとつである金投資。気にはなるものの、どのようなメリットやデメリットがあるのかよくわからないという人もいるかもしれません。そこでこの記事では、金投資とは何か基本的な知識やメリット・デメリット、投資方法などをご紹介していきます。
また同じ貴金属である銀やプラチナへの投資という選択肢もあります。それぞれの特徴や違いもご説明するので、ご自身に合う投資方法を選ぶ際にぜひ参考にしてみてください。
・目次
金投資とは
金投資とは、その名の通り『金』に投資する方法です。金を購入して売却したときの差額が利益となります。
従来からある資産運用の手段のひとつで、実物資産を対象とするコモディティ(商品)投資に分類されます。株式や債券などとは違う値動きをするため、オルタナティブ(代替)資産としても人気です。ただし投資である以上、必ずしも利益が発生するわけではないので注意しましょう。
金の特徴
金は、古来より世界のいたるところで通貨の代わりに使われていたほど、その価値が認められています。ジュエリーのような宝飾品としてだけでなく、産業用としても需要が高いものの現存する量に限りがあることから、希少性が高いことも特徴です。
そのため金は「有事の金」や「無国籍通貨」などとも呼ばれ、相場も安定していることから、安全資産として人気があります。
金の価格と市場動向
金の価格は年々上昇傾向にあり、特に2020年頃からは大きく高騰しています。2024年には1gあたり10,000円を超え、何度も過去最高値を更新している状況です。
金の価格推移
年 |
金価格年次平均(円/g) |
2000年 |
1,014円 |
2005年 |
1,619円 |
2010年 |
3,477円 |
2015年 |
4,564円 |
2020年 |
6,122円 |
2021年 |
6402円 |
2022年 |
7,649円 |
2023年 |
8,834円 |
参考:田中貴金属工業(田中貴金属工業株式会社|年次金価格推移)
※2024年11月現在でも1gあたり13,000~14,000円を推移しており、依然として高い水準です。
金の高騰の背景には、新型コロナウイルスやウクライナ問題といった世界情勢の不安などが影響しているといわれています。今後の動向に関しては、上がるという専門家もいれば下がると予想している専門家もいるため、定かではありません。このまま上がり続ける保証はないので、注意してください。
金投資のメリット
安全資産として人気のある金ですが、その金に投資するとどのようなメリットがあるのか、具体的にご紹介していきます。
金そのものに価値がある
前述したように、希少性や需要が高い金は存在そのものに価値があります。株式や債券などのペーパー資産は、企業や国の業績や内情が傾けば価値も下がってしまいますが、金は現物資産なので、そのようなリスクはありません。
たとえばある会社の株式を保有していても、その会社が潰れてしまえばその価値はなくなります。しかし現物である金は、無価値になることはありません。発行体による信用リスクがない金投資は、安全性や信頼性が高いといえます。
インフレに強い
インフレとは、商品やサービスの価格が上がることで貨幣の価値が下がることですが、「現物」である金の価値が下がることはありません。むしろ相対的に価値が上がる傾向にあります。
災害時や戦争時といった情勢が不安定な時期も、価値が担保されている金の価格は上がりやすいため、守りの資産として備えておくのもよいでしょう。
価値基準が世界共通
金は「無国籍通貨」と呼ばれるほど、世界的に価値が認められている資産です。どこの国でも同じように価値が認められているため、世界の市場で換金できます。
希少性が高いことから今後価値がなくなることは考えにくく、また世界情勢が不安定になれば安全資産として金の人気が世界的に高まると考えられます。
リスクヘッジになる
金は株式や債券といったペーパー資産とは異なる値動きをするため、保有しておくとリスクを分散できます。インフレや有事の際にも強い資産を持つことは、リスクヘッジとして効果的です。
金投資のデメリット
金投資には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。投資を決める際には以下の点も考慮しておくとよいでしょう。
配当や利子がない
株式には配当が、預金には利子が発生しますが、金にはそのようなインカムゲインは発生しません。金投資の利益は、購入価格と売却価格の差額であることを理解しておきましょう。
紛失や盗難の恐れ
金投資にはさまざまな手段がありますが、現物を保有している場合は紛失や盗難のリスクがあります。安全に保管するためには、自宅に金庫を用意したり貸金庫を手配したりといった対策が必要です。
管理コストや手数料がかかる
前述したように、金を安全に保管するにはコストが発生します。また現物保有でなくても、金投資を行う場合、購入手数料や信託報酬が比較的高い傾向にあるので注意が必要です。保有や管理のコストがかかることを覚えておきましょう。
元本保証はない
多くの投資商品と同じように、金投資にも元本保証はありません。安全性や信頼性が高いとはいえ、購入時の価格が担保されるわけではないので注意してください。購入時よりも売却時の価格が下回れば、損失を負うリスクもあります。
為替相場の影響を受ける
金は国際的に取引されており、価格は米ドルで表示されます。そのため、日本で取引を行う際には為替レートの影響を受けます。購入する場合は円での価格が安くなる円高時が有利ですが、売却するときに円高だと損失が発生するリスクがあるので注意してください。
<例>
●購入する場合(※1g= 80ドルと仮定)
1g買うのに必要なお金
円高時(140円)→11,200円 ※こちらの方が安く買える
円安時(150円)→12,000円
●売却する場合(※1g= 80ドルと仮定)
1g売って得るお金
円高時(140円)→11,200
円安時(150円)→12,000 ※こちらの方が手元に多く残る
銀やプラチナとの違いは何?
貴金属である銀やプラチナも金と同じように現物そのものに価値があり、株式や債券のような信用リスクがないことから、安全資産として人気があります。そこで金との違いはなにか、わかりやすくご紹介していきます。
銀投資とは
銀も金と同じように昔から通貨としての役割を担っており、銀そのものに価値があります。しかし比較的生産量が多く希少性が劣るため、金よりも非常に安価です。
金は購入が難しくても銀なら取引できるとして人気があり、金と似たような値動きをするといわれています。ただし工業用として需要が高いため、工業需要が下がると大きく値を下げることもあり、金ほどの安定性はないので注意が必要です。
プラチナ投資とは
プラチナは非常に生産量が少ないため、とても希少性が高いです。金よりも高い相場のときもありましたが、近年では金の価格を下回っています。
ジュエリー素材として使われることが多いプラチナですが、最も需要が多いのは工業用です。特に軽自動車の素材として使われることが多いため、自動車の売れ行きや世界情勢の悪化により、大きく値を下げることもあります。
『金・銀・プラチナ』それぞれの特徴を比較
金・銀・プラチナの違いをわかりやすいように表にまとめてみました。それぞれの違いを確認して、ご自身の目的に合う商品をえらんでみてください。
|
金 |
銀 |
プラチナ |
価格(1gあたり)※ |
14,613円 |
173.25円 |
5,369円 |
資産性 |
・無価値にならない |
・無価値にならない |
・無価値にならない |
価格の傾向 |
・市場が大きく、安定している |
・金と似た傾向 |
・市場が小さく値動きしやすい |
特徴 |
・有事の金 |
・インフレに強い |
・インフレに強い |
※2024年11月21日現在
参考:田中貴金属工業(田中貴金属工業株式会社|貴金属価格情報)
金に投資する方法|おすすめ5選
金投資の方法は主に5つに分かれます。それぞれの特徴や購入方法などをご紹介していきます。
金地金、金貨(現物取引)
イメージしやすいのは、金地金(インゴット/金の延べ棒)や金貨などの現物取引ではないでしょうか。地金商や貴金属メーカー、宝飾店、貴金属店などで購入できます。
販売業者によって取り扱いサイズは異なりますが、金地金の購入は一般的に1,000gからなので、500g未満の場合は手数料が発生します。有事の際にすぐに換金できますが、紛失や盗難のリスクがあるので保管には注意しましょう。
純金積立
毎月一定額を積み立てて金を購入していく方法です。1,000円から投資でき、購入した金を保管する必要もないため、気軽に始められます。
積立方法は、毎月決まった額を購入する「定額積立」と、一定量の金を購入していく「定量積立」の2種類です。証券会社や銀行、地金商や貴金属メーカーなどで取り扱っています。積み立てた金は、現金で引き出すほか、金の現物で受け取ることも可能です。
投資信託、金ETF
金の価格に連動した値動きをする投資信託を購入するという方法もあります。証券会社などで取り扱っており、最低投資価格は100円からなので、気軽に始められるのが特徴です。
また、ETFとは証券取引所に上場している投資信託のことですが、こちらも金の価格に連動しているものがあります。金ETFは売買時に手数料が発生しますが、信託報酬は投資信託よりも低めの傾向があります。
【信託報酬の目安】
・金投資信託:0.5~1.0%程度
・金ETF:0.1~0.5%程度
※商品や証券会社によって違いがあります。
金先物取引
金先物取引とは、あらかじめ決めた日に決められた価格で金を売買する方法です。買い手と売り手のどちらからでも始められ、レバレッジをかけられるため、短期間で大きな利益を得ることもできます。
しかし逆に大きな損失につながる恐れもあるので注意しましょう。投機的な側面が強く、ハイリスク・ハイリターンなので、初心者にはあまりおすすめできません。
金製品の購入
指輪やネックレス、時計などの金製品を購入するという方法もあります。投資という側面からみると大きな利益は期待できませんが、趣味も兼ねていると考えればおすすめです。
中古の金製品を購入して磨き上げると、ほぼ新品のようになりますよ。いざというときのために手元に置いておくのもよいのではないでしょうか。
まとめ
金は「有事の金」「無国籍通貨」などと呼ばれ、とても安定性の高い資産です。配当や利子がつかない、盗難や紛失の恐れがあるといったデメリットはあるものの、インフレの影響を受けにくく世界共通の価値を持つ金に投資することは、リスクヘッジにもつながります。
金投資の方法は、金地金やコインなどの現物取引のほか、純金積立や金ETFなどさまざまな方法があります。資産の状況や目的に合わせて、最適な方法を選んでみてください。