初心者必見!NISAとiDeCoの違いをわかりやすく解説|どちらを選ぶべき?

NISAやiDeCoなど聞いたことはあるけれど、どのような制度なのか、両者の違いは何かなど詳しくはよくわからないという人もいるのではないでしょうか。2024年から新NISAが始まり、ますます違いが分かりにくくなっているかもしれません。

そこでこの記事では、NISAとiDeCoの特徴やその違いをわかりやすくご紹介していきます。また、それぞれのメリットやデメリットなどをふまえて、どちらの制度が向いているのかもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

・目次


そもそもNISAやiDeCoとは何?

NISAとiDeCoは、資産運用を行ったときに得られる税制上の優遇制度で、どちらも国が定めたものです。

通常、株や投資信託などで利益を得ると、その運用益(運用で発生した利益や配当)には基本20.315%の税金が発生します。たとえば10万円の利益が発生した場合、納める税金は以下の通りです。

100,000円×20.315%=20,315円

通常の口座で運用していた場合、たとえ10万円の利益があってもそのうち約2万円は税金として納めなければなりません。しかしNISAやiDeCoを利用した場合、運用益は非課税のため、10万円の利益をそのまま受け取れます。

このようにNISAやiDeCoを利用すると節税になるため、資産形成に有利というわけです。どちらも資産運用に効果を期待できるという点は同じですが、それぞれの特徴は異なるため、まずは基本的な仕組みをご紹介していきます。


NISAの特徴

NISAとは2014年1月から始まった制度で、正式名称は「少額投資非課税制度」です。その名の通り、少額からでも投資を行いやすくするために設けられた制度で、イギリスの『ISA(Individual Savings Account)=個人貯蓄口座』をモデルにしています。ISAに「Nippon」の頭文字を加えて『NISA』と呼ばれています。

NISAの大きな特徴は、株式や投資信託で得られた運用益(売却益・配当金・分配金)が非課税になることです。証券会社や銀行などでNISA口座を開設し、その口座で株式や投資信託を運用した場合、運用益が非課税になります。

以前は期間が限定されていたり投資可能額が十分でなかったりなどの問題点が指摘されていましたが、2024年から新NISAに移行したことで、さらに便利な制度になりました。

新NISAと旧NISAの違い

2024年からスタートした新NISAと旧NISAの違いについて、代表的なものを表にまとめました。

 

新NISA

旧NISA

非課税期間

無期限

一般NISA:5年間
つみたてNISA:20年間

年間投資枠

成長投資枠:240万
つみたて投資枠:120万

一般NISA:120万円
つみたてNISA:40万円

生涯投資金額

総額1,800万円
(成長投資枠:1,200万円まで)

一般NISA:600万円
つみたてNISA:800万円

併用可否

併用可能

併用不可

特に大きな違いは、非課税期間の期限がなくなったことと、成長投資枠とつみたて投資枠が併用できるようになったことです。

成長投資枠とは

株式や投資信託に、一括で投資する場合に利用するのが成長投資枠です。年間240万円まで購入でき、最大で1,200万円まで保有できます。

投資の対象商品は、上場株式や投資信託などです。特に株式はつみたて投資枠では購入できないため、成長投資枠を利用するとよいでしょう。

従来よりも幅広い商品が対象となっていますが、長期の資産形成に向かない「毎月分配型」や「信託期間が20年未満」の投資信託などは除外されています。

つみたて投資枠とは

つみたて投資とは、毎月一定額の資金を積み立てて投資していく方法です。投資枠は年間120万円なので、月に換算すると10万円ずつ投資できます。投資可能額の最大値は、成長投資枠と合わせて1,800万円です。

つみたて投資枠はより資産を長期で積み立てることを目的としているため、対象となる商品は、長期の積立分散投資に適していると金融庁が判断した投資信託に限られます。


iDeCoの特徴

iDeCo(individual-type Defined Contribution pension plan)は個人型確定拠出年金のことで、自分で掛金を拠出して運用し、資産形成するための制度です。

確定拠出年金には企業型もありますが、これはこの制度を導入している企業に勤めている人が対象です。一方iDeCoは、基本的に公的年金に加入している人なら誰でも加入できます。

NISAと同じように運用益が非課税になるだけでなく、掛金が所得控除の対象となるため、所得税と住民税が軽減されるなど、税制がかなり優遇されている制度です。

年金制度のひとつ

iDeCoは私的年金制度であり、年金制度のひとつです。そのため、積み立てた資金は原則60歳になるまで引き出せません。掛金は65歳まで積立可能で、節税しながら将来への備えを準備できます。自営業や専業主婦、そのほか公的な年金制度だけでは不安だという人にとっては、心強い制度です。

ただし、将来受け取れる額はご自身の運用成績により異なります。保証された年金額を受け取れるわけではないので注意しましょう。受け取りは一括でも可能ですし、5年~20年の期間で年金として受け取ることもできます。

職業によって拠出できる金額が違う

iDeCoは原則65歳未満で国民年金を収めている人なら誰でも加入でき、月額5,000円から積立可能です。ただし、職業によって掛金の限度額が異なるので注意しましょう。

<iDeCoの職業別・掛金上限額>

職業

掛金限度額(月額)

第1号被保険者・任意加入被保険者(自営業者など)

68,000円 ※1

【企業年金なし】企業の役職員

23,000円

【企業型確定拠出年金あり】企業の役職員

20,000円

【ほかの企業年金あり】企業の役職員 ※2

12,000円

公務員

12,000円

第3号被保険者(専業主婦など)

23,000円

※1 国民年金の付加保険料及び国民年金基金との合算額です。

※2 ほかの企業年金に加えて、企業型確定拠出年金がある場合も含みます。

職業のほか、所属している企業の年金制度によっても限度額が異なります。特に掛金を年単位で拠出している企業型確定拠出年金に加入している場合、iDeCoへの加入ができないので注意してください。

そのほか諸条件で限度額が異なることもあるので、事前に必ずご自身の状況を確認してから加入を検討してみてください。


NISAとiDeCoの違いはココ!ポイントを表で比較

NISAもiDeCoも税制上の優遇がある資産運用手段ですが、さまざまな違いがあります。そこで違いをわかりやすく一覧表にしました。

<NISAとiDeCoの違い>

 

NISA

iDeCo

目的

自由
(住宅資金・教育資金・老後資金など)

老後資金

対象

18歳以上

原則20歳以上65歳未満の国民年金加入者

拠出の上限額

総額1,800万円
(成長投資枠:1,200万円まで)
※年額360万円(成長投資枠240万円/つみたて投資枠120万円)

月額12,000円~68.000円
(年額144,000円~816,000円)
※職業や企業年金により異なる

最低積立金額(月額)

特に定めなし(100円程度から)

5,000円

投資対象商品

【成長投資枠】
上場株式や投資信託など
【つみたて投資枠】
長期の積立分散投資に適している投資信託

・投信信託
・定期預金
・保険商品 など

引き出しのタイミング

いつでも可能

原則60歳以降

税制のメリット

運用益が非課税

・運用益が非課税
・掛金が全額所得控除
・受け取り時に公的年金等控除、もしくは退職所得控除の対象になる

目的

iDeCoは私的年金制度なので、目的は老後資金形成です。そのため引き出し時期や拠出可能額、税制のメリットなどはその目的に見合うものになっています。一方NISAにはそのような定めは特にないので、どのような目的で運用しても構いません。

対象

NISAは18歳以上なら誰でも利用できますが、iDeCoは原則20歳以上65歳未満の国民年金加入者が対象です。ただし、加入している企業年金の状況や老齢基礎年金を繰り上げ需給している場合などはiDeCoに加入できないこともあります。

拠出の上限額、最低積立金額

前述したように、NISAの拠出可能額は総額で1,800万円(成長投資枠1,200万円)で、年間だと360万円(成長投資枠240万円)です。最低積立額は商品によって異なりますが、少ないものだと100円程度から積み立てられるものもあります。

iDeCoは職業や企業年金の種類によって月額の拠出可能額が異なりますが、最低積立額は5,000円です。

投資対象商品

投資の対象になる商品は金融機関によって異なりますが、NISAの成長投資枠は「株式・投資信託」、つみたて投資枠は「投資信託」、iDeCoは「投資信託」「定期預金」「保険金額」と覚えておくとよいでしょう。またiDeCoには、満期まで保有していれば原則元本割れしない商品も用意されており、運用中は商品や掛金の配分を自由に変更できます。

引き出しのタイミング

iDeCoは老後の資金形成を目的とした私的年金制度のため、引き出せるのは原則60歳以上です。また加入期間が10年未満だと受け取れないため、60歳の時点で加入歴が10年に満たない場合は、受け取れる時期が後ろ倒しになります。

NISAにはそのような定めがないため、いつでも自由に引き出せます。この引き出しタイミングの違いは、両者の大きな違いといえるでしょう。

税制のメリット

どちらも運用益は非課税ですが、iDeCoはさらに税制のメリットが大きいです。掛金が全額所得税控除になるので、納める所得税と住民税が軽減されます。また受け取るときも、一括受け取りの場合は「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金等控除」の対象になるなど、税制の面でとても優遇されています。


NISAとiDeCoのメリットとデメリット

NISAとiDeCoの違いを確認したところで、両者のメリットとデメリットは何か、わかりやすく比べてみましょう。

NISAのメリット

NISAのメリットは自由度が高いところです。掛金の上限はあるものの、ある程度は自由に設定でき、また引き出しも自由です。資産運用を行うなら、運用益が非課税になるNISAを利用しない手はないでしょう。非課税期間が無期限なことや、積み立て投資だけでなく一度に投資できる成長投資枠を併用できることもメリットです。

NISAのデメリット

一方デメリットは、元本保証がないという点です。投資である以上、元本割れの可能性もありますが、長期で所有することでそのリスクを軽減できます。運用状況に一喜一憂するのではなく、長い目でみることが大切です。いつでも引き出せるとはいえ、短期売買はおすすめできません。

iDeCoのメリット

iDeCoのメリットは、税制の優遇が大きいことです。運用益をそのまま受け取れるだけでなく、掛金が所得税控除になるため、現在納めている所得税と住民税が軽減されます。受け取る際にも公的年金等控除や退職所得控除があるので安心です。

iDeCoのデメリット

一方デメリットは、引き出せるのが60歳以降であることです。一度拠出してしまうと60歳まで引き出せなくなるので、必ず余剰資金で行いましょう。また運用できる商品がNISAと比べて少ないことや、加入と継続に手数料が発生することもデメリットといえます。


NISAとiDeCo、どちらを選ぶべき?

NISAとiDeCoのそれぞれにメリットとデメリットがあるため、資産運用の目的やご自身の状況に合わせて制度を選ぶのが大切です。参考までに、どちらを選べばいいのか目安をご紹介します。

NISAがおすすめの人

・引き出しのタイミングを自分で決めたい人

・株式など幅広い運用商品から選びたい人

・投資初心者

住宅資金や教育資金を貯めるのが目的であれば、いつでも自由に引き出せるNISAを選びましょう。また、株式などの個別銘柄に投資したいならNISAの成長投資枠を利用しなければなりません。積立ではなく一度に投資したい人も、NISAがおすすめです。また少額から始めらることや引き出しのタイミングが柔軟であることなどから、投資初心者にも適しています。

iDeCoがおすすめの人

・老後資金を貯めたい人

・所得税や住民税を軽減させたい人

・自営業など公的年金に不安がある人

iDeCoは60歳まで引き出せないため、老後資金の準備に最適です。自営業や専業主婦など、公的な年金制度だけでは不安だという人にも向いています。そのほか、所得税や住民税を軽減させたい、できるだけ安全に資産運用したいという人にもおすすめです。

併用も可能

NISAとiDeCoはどちらか一つしか選べないわけではなく、併用も可能です。NISAを利用して柔軟に資産運用しながら、iDeCoで所得税や住民芸を軽減しつつ堅実に老後資金を貯めることができます。まずはNISA口座を開設して少し慣れたころに、余剰資金があればiDeCoを始めるといったように、併用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。


まとめ

NISAとiDeCoはどちらも税制上のメリットがある、資産形成に有効な制度です。NISAは拠出額や引き出しのタイミングなどの柔軟性が高く、株式などの個別銘柄にも投資できます。一方iDeCoは60歳まで引き出せないものの、所得税や住民税を軽減しつつ、堅実に老後資金を準備できる点が魅力です。それぞれにメリットがある制度ですが、どちらか一方だけでなく併用もできるので、ぜひ参考にしてみてください。