空き家の活用アイデア10選!
売却・収益化の方法と成功事例も紹介

たとえば親が住んでいた家を相続した場合など、思いがけず空き家を保有することになり、どうしたらいいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。空き家のまま放っておくと、思わぬトラブルが起こったり罰則が発生したりするリスクがあります。そこでこの記事では、空き家の対処法や活用方法を、成功事例とともにご紹介していきます。空き家の管理に困っている人は、ぜひ参考にしてみてください。

・目次


空き家を放置するリスクとは?

現状、日本における空き家は増え続けており、社会問題のひとつとなっています。空き家のままにしておくとどのようなリスクやトラブルがあるのか、理解しておきましょう。

空き家の現状

総務省統計局が行った「住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家数は900万2千戸と過去最多でした。総住宅数に占める空き家率は13.8%と、こちらも過去最高です。

出典:総務省| 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果

1978年のデータと比べると2023年の空き家の数は3倍以上になっており、空き家はずっと増え続けているのがわかります。今後も空き家の数は増え続けると予想されており、国や地方自治体でもさまざまな対策が行われています。

近隣トラブルの恐れ

なぜ空き家だと問題なのかというと、さまざまなトラブルが発生する可能性があるからです。

<発生しやすいトラブル>

伸びた草木に害虫が大量に発生する

空き家の管理をせずに放っておくと、庭の草木が伸び放題になってしまうでしょう。草木が生い茂ると、そこにはダニや蚊、ゴキブリ、シロアリといった害虫が大量に発生することがあります。害虫だけでなく、ネズミなどの害獣の住処になるかもしれません。

このような害虫や害獣の被害は近隣住宅にも及ぶことが多く、トラブルに発生する可能性があります。

・不法投棄される

空き家の敷地内に、不用品や廃材などが不法投棄される恐れがあります。ゴミが増えると悪臭や害虫が発生したり、景観が悪くなったりなどの問題も発生するでしょう。また、不法投棄されたゴミを処分する義務は土地の管理者にあるため、余分な費用も発生してしまいます。

・放火の標的になる

草木が生い茂り、ゴミが散乱しているような空き家は、人目も少なく放火の標的になりやすいです。もし近隣住宅に延焼するようなことがあれば、損害賠償を支払うことにもなりかねません。

・倒壊や景観の悪化による近隣住宅への損害

老朽化した空き家は、台風や地震などの自然災害が起こると倒壊する可能性があります。歩行者や近隣住宅に被害を与える恐れがあり、所有者は責任を問われます。またあまりにも老朽化した家屋は、倒壊の恐れがあるだけでなく景観が悪化し、治安の低下につながるかもしれません。

・犯罪に利用される

管理されていない空き家は、知らないうちに犯罪者や不審者の拠点となるリスクがあります。地域の治安悪化にもつながり、近隣住宅からクレームがくる恐れもあるでしょう。

このように空き家を放置しているとさまざまなリスクが発生して、近隣トラブルになる可能性があります。またそれだけでなく、処罰の対象になることもあるので注意が必要です。

罰則や固定資産税の増額も

空き家を放置して、近隣住宅や通行人に被害を与えたり、犯罪に利用されたりした場合、所有者の管理責任を問われて、処罰の対象になる可能性があります。

また、近隣住民からの苦情を無視し続けた場合、自治体から「特定空き家」に指定され、行政処分を受けるかもしれません。特定空き家とは、景観上、衛生上、安全上において問題があると自治体から判断された空き家です。

特定空き家に指定され、指導や勧告にも従わなかった場合、固定資産税の軽減措置である「宅地並み課税」から除外されてしまいます。宅地並み課税から除外されると、固定資産税は今までの3~6倍です。

また、固定資産税の増額だけでなく、50万円以下の罰則を受けることになります。それでも対応しない場合、最終的に行政代執行され、行政によって空き家が解体され、かかった費用を請求されます。自分で解体するよりも高額な費用になりがちなので、注意が必要です。

2023年には新たに「管理不全空き家」が認定されることになりました。特定空き家の一歩前の状態で、「1年以上誰も住んでおらず、管理が不十分であり、そのままでは特定空き家に指定されそうな空き家」が対象です。

このように空き家を放置していると、近隣住民とのトラブルになる可能性だけでなく、行政から罰則を受ける恐れもあります。そうならないためにも、空き家は早いうちに対処しましょう。


空き家の選択肢は3つ|住む・売る・活用

空き家をどうするのか、選択肢は大きく分けて「住む」か「売る」か「活用する」の3つです。

保有して自分で住む

まずは自分で保有して住む、という選択肢です。現在住んでいる自宅を処分して、住み替えを検討してもよいかもしれません。特に立地が良い場合は、賢い選択なのではないでしょうか。

また、「常に住むわけではないが、保有しておく」という選択肢もあります。セカンドハウスにする、子供にいつか贈与したいなどの目的があれば、保有しておくのも選択肢のひとつです。

ただしその場合は、空き家が荒れないようしっかり管理しましょう。住宅は人が住んでいないと痛みが早くなるので、あまり長く空き家にするのはおすすめできません。

売却する

「空き家が遠方にある」「住んだり活用したりする予定がない」「固定資産税を払うのが大変」などの場合は、売却を検討しましょう。

売却する場合は、不動産の価値がどれくらいなのか、相場を事前に調べておくことをおすすめします。複数の不動産会社の見積もりを一気に取れるサイトもあるので、活用してみてください。

また、すぐに買い手が付かなかったり、解体費用がかかったりすることもあります。解体費用は思いがけず高額になることもあるので、事前によく調べておきましょう。

相続した土地や空き家に困っている場合は、ほかの財産を相続しながら土地だけを国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」を利用できる場合もあります。

2023年4月から始まった制度ですが、国に引き取ってもらうには、空き家を解体して更地にしなければなりません。ほかにも土地管理費用の負担金を納めるなど、さまざまな条件があります。詳しくは下記の法務局の情報を確認してみてください。

参考:法務省:相続土地国庫帰属制度について

活用して収益を得る

自分で住むのも売却も難しい場合は、空き家を活用する方法を検討してみてはいかがでしょうか。空き家のリスクを減らせるだけでなく、収益を得ることも可能です。

空き家を活用する場合、「建物をそのまま利用する」「リフォームや建て替えをする」「更地にする」という手段が考えられます。

それぞれのメリットやデメリットがあるので、詳しくご紹介していきます。


空き家活用のメリットとデメリット

空き家を活用すると言っても、「建物をそのまま利用するのか」「リフォームや建て替えをするのか」「更地にするのか」で、用途の選択肢は大きく異なります。

空き家の立地や状況によって適している活用方法は異なりますが、まずはそれぞれのメリットやデメリットを確認しておきましょう。

建物をそのまま利用する場合

メリット

・初期費用が安くすむ

・すぐに利益を得られる

デメリット

・借り手が見つからないリスクが高くなる

・修繕が必要になる場合がある

・用途が限られる

メリット

デメリット

・初期費用が安くすむ

・すぐに利益を得られる

・借り手が見つからないリスクが高くなる

・修繕が必要になる場合がある

・用途が限られる

空き家をそのまま利用する場合、初期費用があまりかからず、すぐに収益を得られるというメリットがあります。

ただしそれは、すぐに借り手が見つかった場合です。築浅だったり立地条件が良かったりする場合は、すぐに借り手が見つかることもあるでしょう。しかしそうでない場合は、やはりリフォーム等をして質を高めないと借り手が見つからないかもしれません。

物件をそのまま貸し出す場合は、どうしても用途が限られてしまいがちなので、空き室リスクも高まります。

リフォーム・建て替えの場合

メリット

デメリット

・収益性が上がる

・用途の選択肢が広がる

・初期費用がかかる

・赤字リスクがある

・軌道に乗るまで時間がかかる

メリット

・収益性が上がる

・用途の選択肢が広がる

デメリット

・初期費用がかかる

・赤字リスクがある

・軌道に乗るまで時間がかかる

リフォームや建て替えをするなら、用途の選択肢が広がります。たとえば住宅をアパートやシェアハウスにリフォームしたり、店舗用に改修したりなどです。同じ用途で活用する場合でも、建物の質が上がるため、収益性のアップを期待できるでしょう。

しかし特に建て替えの場合は、初期費用が高額になりがちです。また改修に見合う家賃を得られなかったり借り手が見つからなかったりした場合は、収益が見込めず赤字に転じるリスクがあります。軌道に乗るまでは、多少時間がかかるというデメリットも覚えておきましょう。

更地にする場合

メリット

デメリット

・立地に合った活用法を選べる

・一時的な利用が可能

・売却時にも手軽

・解体費用がかかる

・固定資産税の負担が増える

メリット

・立地に合った活用法を選べる

・一時的な利用が可能

・売却時にも手軽

デメリット

・解体費用がかかる

・固定資産税の負担が増える

更地にすることで、立地に合った活用法を選べるようになります。たとえば駐車場にしたり、事業用に土地を貸し出したりなどです。

のちのち売却しようと考えている場合は、一度更地にして、一時的に駐車場などにして活用するのもよいでしょう。

ただし、解体費用が発生したり固定資産税が増額されたりといったデメリットがあります。土地に建物が建っている場合、土地の固定資産税は低くなりますが、更地の場合はその軽減措置がないためです。

このように、空き家を活用するには、大きく分けて3つの選択肢があります。立地や周辺地域の状況、建物の状態などを見極めて、活用方法を考えてみてください。

特にリフォームや建て替えをしても借り手がいなかった場合、大きな損失が発生する可能性もあるので、慎重に行いましょう。


空き家の活用アイデア10選

空き家を活用するには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。どのように活用するかによって、必要な修繕や初期費用は異なります。空き家の立地や状況によって、適した活用方法も変わってくるので、まずはどのようなアイデアがあるのか、確認しておきましょう。

賃貸住宅

まず初めにスタンダードな活用方法として、賃貸住宅として貸し出すことがあげられます。戸建てでもマンションでも活用でき、比較的きれいな場合は大きな修繕をしなくても貸し出せるかもしれません。賃料が比較的高いのもメリットです。

ただし、そのままでは借り手が付かない場合はリフォームやリノベーションなどが必要になります。また立地によって必要とされる物件は異なるため、ほかの用途で検討したほうがよい場合もあるでしょう。

<戸建ての特徴>
ファミリー層の需要が高いです。家族の場合は入居期間が比較的長いため、安定的な収入を見込めます。

<マンションの特徴>
駅が近かったり、商業施設が揃っていたりなど、立地条件が良い場所にあれば、需要があるでしょう。

シェアハウス

シェアハウスとは、物件を複数人にシェアして貸し出す方法で、特に若者に需要があります。キッチンやお風呂、リビングは共有で、各人の部屋が個別にあるスタイルが多いです。

通常の賃貸料金よりも比較的高額な賃料を期待でき、さらに複数人に貸し出すことで空き室リスクを抑えられます。

若者が集まるエリアであれば、人気が出るかもしれません。また同じ趣味や趣向の人を対象にするとコンセプトがわかりやすく、ほかの物件とも差別化を図れるでしょう。リビングやキッチンなどの共有スペースを綺麗にリフォームすると、人気が高まります。

デメリットとしては、入居人同士のトラブルが発生しやすいことと、ある程度のリフォームは必要になることです。個室に鍵をつけたり、共有部分の質を上げたりなどのリフォームが必要になります。トラブルや住民の入れ替わりが多い傾向にあり、管理するのも大変です。

民泊

住宅や空き部屋を、宿泊施設として貸し出すのが民泊です。賃貸として貸し出すのが難しい立地の場合でも、宿泊施設としてなら需要がある場合もあります。

たとえば観光需要が高い地域や、海や山などの自然に囲まれた古民家などは、民泊の需要が高いです。通常の賃貸料金よりも高額な宿泊料を設定しやすく、空き室リスクも抑えられます。

借り手側はホテルよりも手頃な金額で宿泊でき、宿泊客が近隣で飲食や観光にお金を費やせば、地域貢献にもつながります。

ただし、民泊として運営するにはさまざまな手続きや許可が必要です。このような手続きに加え、物件を整備するための初期費用が発生し、また必ずしも安定した収益を見込めるとは限りません。外国人客の需要も高く、トラブルが発生することもあるでしょう。管理にも手間と時間がかかります。

民泊は、メリットだけでなくデメリットも想定して運営しましょう。

セーフティネット住宅

セーフティネット住宅とは、住宅セーフティネットに登録された「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅のことです。

住宅確保要配慮者には、以下の人が該当します。

  • 低額所得者(月収15.8万円以下)
  • 被災者(基本的に被災後3年以内)
  • 高齢者
  • 障害者
  • 子育て世代(18歳未満の子供に限る)
  • 外国人 など

低所得者向けの住宅としては「公営住宅」が基本ですが、大都市圏を中心に不足しています。一方で、民間の空き家は増え続けている現状から、空き家をセーフティネット住宅として活用する国の対策が、2017年から始まりました。

セーフティネット住宅に登録するには、以下の条件があります。

  • 住宅確保要配慮者の入居を拒まない
  • 床面積が原則25平方メートル以上
  • 耐震性がある
  • 建築基準法や消防法に違反していない
  • 家賃が相場である

セーフティネット住宅は、通常よりも家賃収入が下がる恐れがありますが、なかなか借主が見つからない場合は有効な手立てです。また、改修費の補助や低く設定した家賃の補助などの経済的支援を、国から受けられるという特徴もあります。

介護施設

特に戸建ての空き家の場合、デイサービスやグループホームなどの介護施設として活用するという方法もあります。もともと戸建てだった家を改修して作られている施設も少なくなく、住宅街の中という立地も活かせるでしょう。

<介護施設の例>

  • デイサービス → 高齢者向けの通所介護施設
  • グループホーム → 主に認知症高齢者を対象に、少人数で共同生活を送る施設
  • 老人ホーム → 自立した人から要介護の高齢者までを対象としている施設

介護事業者に一棟貸しできるため、比較的収益が安定するというのも、大きなメリットです。

サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、本拠地とは別の場所に置くオフィスのことです。特にコロナ禍でテレワークが普及した影響で、サテライトオフィスの需要は高まりました。コロナの影響が落ち着いた今でも、新しい働き方としてサテライトオフィスは注目されています。

たとえば、自宅がオフィスから遠く離れている、テレワークが可能でも自宅にスペースがないといった事情がある場合、サテライトオフィスはとても有効な手段です。

高速通信環境や必要なスペースを提供できれば、空き家をサテライトオフィスとして活用できるでしょう。地方によっては、空き家をサテライトオフィスに利用すると補助金が出る場合もあるので、一度自治体に確認してみてもよいかもしれません。

初期費用を比較的安く抑えられ、管理の手間もあまりかからないのが特徴です。

コワーキングスペース

サテライトオフィスと同じく、コロナ禍のテレワークがきっかけで需要が増えたのがコワーキングスペースです。こちらはシェアハウスのオフィス版のようなもので、個別のワークスペースに共有の事務所があります。

高速通信設備は必須で、事務所にはコピー機やシュレッダーなど、仕事を行うのに必要な機器を揃えなければなりません。

リモートワーカーだけでなく、個人事業主や設立したばかりの会社など、幅広い層に需要があり、利用者が定着すれば高収益を期待できます。ただし、サービスが認知されるまで時間がかかる傾向にあるため、新規客及びリピーター客を呼び込む施策が必要です。

時間貸しスペース

時間貸しとは、スペースを時間ごとに貸し出している賃貸方法です。目的はさまざまで、会議や習い事の教室、ママ会、ホームパーティ、動画撮影など、多彩な用途で利用されます。

時間貸しは、会議といった仕事目的でない場合も増えてきています。子供連れのホームパーティなどであれば、住宅街の一軒家でも利用を期待できます。

カフェや小売店などの店舗

空き家を、カフェや小売店などの店舗用物件として貸し出す方法です。個人に貸し出すよりも家賃滞納トラブルが発生しにくいという利点があります。

ただし店舗用として貸し出す場合、大幅なリフォームが必要になるかもしれません。借主負担でリフォームする場合でも、完全な原状回復を望めない場合もあるので、注意が必要です。

店舗用として貸し出せるかは立地にもよるので、法的に問題がないか、需要があるかなど事前に確認しましょう。

また、空き家を自分のお店として開業するなら、特に事前の準備が大切です。立地はもちろん、競合他社や資金の目途など、継続して経営できるかしっかり考えてから実行しましょう。

お店を軌道に乗せるには、コンセプトを明確にする、常連客を確保する、といった点が特に重要です。

トランクルーム

近年、需要が増しているトランクルームに対し、空き家を活用するケースも増えてきています。郊外だけでなく、収納スペースが狭くなりがちな都市部でも需要が高いです。

トランクルームとして貸し出す方法は、主に屋外にコンテナを設置する「屋外コンテナ型」と、建物の中に収納スペースを作る「屋内型」があります。

空き家を解体して更地にしたり、土地が広かったりする場合はコンテナを設置する屋外型がおすすめです。また空き家を改修すれば、屋内型として活用できるかもしれません。屋内型の場合は収納スペースが屋外型よりも狭くなりがちですが、衣服や鞄といった、空調設備が整っている場所で保管したいものに向いています。

トランクルームは住居用に貸し出すわけではないので、比較的管理しやすいです。築年数が古い物件でも問題なく、初期費用もあまりかからないというメリットもあります。

ただし、特にコンテナを設置する場合は、建築基準法や都市計画法などの法律に抵触しないよう注意が必要です。屋内型の場合も、すべての建築物に設置できるわけではないので、事前に確認しましょう。

このほか、更地にして駐車場として活用する、コインランドリーに建て替えるなどのアイデアもあります。地域の需要に合致するよう、用途を検討してみてください。


成功事例から学ぶ空き家活用法

実際に空き家をどのように活用しているのか、成功事例をいくつかご紹介していきます。

田舎の古民家を農家民宿へ

田舎で空き家になってしまった古民家を修繕し、農家民宿として活用している事例があります。

将来的には田舎への定住も視野に入れている人をターゲットとし、会員制を導入しました。その結果、リピーターが多くなり地域との交流も盛んです。

運営はNPO法人に託すことで、管理の手間も省いています。あまり収益性が高いとは言えませんが、立地を生かした空き家活用と言えるでしょう。

このほか、たとえば京都の古民家であれば、一棟貸しの高級な宿泊施設にすることで、初期費用を抑えつつ高い収益を得ることに成功した例もあります。

リフォームして賃貸住宅や店舗へ

住宅をリフォームして、賃貸住宅や店舗として貸し出している事例もたくさんあります。そのままの状態では長年借り手が付かなかった住宅でも、リフォームして綺麗にすることで、無事貸し出せることは少なくありません。

たとえば、店舗だった大きな空き家をそのまま貸し出すのは難しかったものの、複数の店舗が入るようにリノベーションしたところ、無事すべての区域を貸し出せたという例があります。

そのほか、「バリアフリー住宅に改修して高齢者向けのグループホームとして活用」「留学生向けのシェアハウスに改修」など、少し手を加えることで、貸し出せるようになった空き家の例は多いです。

空き家の借り手が見つからない場合は、周辺地域で求められている需要に合うよう、リフォームを検討してみてもよいかもしれません。

駐車場やバイクガレージへ

長年放置されていた空き家を解体して、駐車場として活用した例です。所有者は、長年の建物管理や雑草処理などから解放され、収益を得られるようになりました。解体費用は掛かるものの、土地を有効に活用できる方法です。

また、空き家はリフォームして残し、バイクガレージとして活用した例もあります。その物件は細い道に面していてシャッターもないため、不法投棄の恰好の標的となり、治安悪化にもつながっていたそうです。そこで、車が入れないという点を逆手に取り、大型バイクガレージとしてリフォームしたところ、有効に活用できるようになりました。

コワーキングスペースやシェアキッチンへ

空き家や空き店舗で、なかなか借り手が見つからない場合でも、コワーキングスペースやシェアキッチンなど、時間貸しスペースで成功した事例もあります。

そのままの状態では売却や賃貸が難しかった物件でも、街中という立地を生かしてコワーキングスペースにしたところ、有効活用できたという例です。

また、シェアキッチンという独自性を打ち出して成功した例や、屋内型の個人向け貸倉庫などにして成功した事例もあります。

出典:国土交通省:空き家の活用事例
アキサポ:【実例】"自己負担0円”で開始した空き家活用のアイデア・実例12選

空き家を活用するには、建物の状況や立地、周辺状況を考慮して、地域の需要に合わせることが大切です。個人だけでは判断が難しいことも多く管理も大変なので、専門家に相談することも検討してみてください。


空き家を活用するための準備と対策

いざ空き家を活用したいとなったら、何から始めればよいのかわからないという人も少なくないでしょう。そこで最後に、空き家を活用するにはどうしたらいいのか、ご紹介していきます。

専門家に相談する

専門家というのは、不動産会社やNPO法人など、空き家に関するプロのことです。空き家の問題は社会問題ということもあり、多くの不動産会社やNPO法人、自治体などでも相談できます。

個人では掴みきれない地域のニーズや自分では思いつかなった活用法、収益モデルなどを提案してくれるので、一度相談してみるのがおすすめです。

ただし、提供しているサービスは業者によって異なります。全国の物件に対応できる業者もあれば、地域が限定されていることもあります。また空き家活用に定評がある業者や、売買に強い業者など、得意とする分野も異なるため、複数の業者に話を聞いてみるとよいでしょう。

必要な手続きや法的要件、費用などを確認する

空き家を活用する場合、法的な手続きが必要になることがあります。たとえば民泊を始めるなら各種の届け出が必要です。また用途制限が付いている土地では、希望通りの活用ができないこともあります。

空き家を活用する場合は、必要となる手続きや法的要件などをしっかり確認しましょう。わからない場合はあいまいなまま進めるのではなく、必ず専門家に相談してください。

また、初期費用はもちろん運営にかかるコストも明確にしておきましょう。どれくらいの収益があれば元が取れるのか、収益率なども把握しておくと安心です。

自治体の支援制度や補助金も確認を

空き家は大きな社会問題のひとつのため、不動産会社やNPO法人といった専門家だけでなく、国や自治体の支援もあります。

前述した、住宅セーフティネット法もそのひとつです。住宅確保要配慮者に安く住宅を提供する代わりに、家賃減収分の補填や修繕費用の助成金などを受けられます。また、シェアハウスにするための改修工事やバリアフリー、耐震などに備えた改修などに対しても、補助金を受けられる可能性があります。

このほかにも補助金の種類がありますが、すべての工事が該当するわけではなく、補助金の額もさまざまです。どのような補助金があるのか、ご自身の場合は該当するのかなど、事前に確認しておくとよいでしょう。

そのほかにも、国や自治体の支援があります。

空き家バンク

空き家問題を解消するためにできたのが、「空き家バンク」です。全国の市区町村が窓口となり、空き家を売りたい人と買いたい人をマッチングしてくれます。

空き家バンクへの登録は無料で、閲覧にもお金はかかりません。気軽に登録できるため、通常の不動産情報には掲載されていないような、あまり買い手がつかなそうな物件も登録されています。価格は、比較的安い傾向にあるようです。

空き家を売買したいなら、まずは空き家バンクに登録してみるとよいでしょう。ただし実際に売買する場合は、民間の不動産会社が仲介するため、手数料が発生します。

自治体によっては独自の補助金も

国だけでなく、自治体が空き家対策の補助金を拠出している場合もあります。たとえば東京では、家財整理や解体に係る費用の一部を補助してくれます。

京都では、空き家を売却するときの仲介手数料や空き家の解体工事に補助金が出るようです。そのほかの地域でも、改修の費用や店舗としての利用促進など、さまざまな支援を行っています。お住まいの地域の自治体にも何かしらの補助があるかもしれません。国の制度と合わせて、こちらも確認しておきましょう。


まとめ

空き家を放置していると、近隣トラブルの元になったり、罰則の対象になったりといったリスクがあります。空き家への対処は、主に「住む」「売る」「活用」です。特に適切に管理して活用できれば、副収入につなげることもできます。

空き家は賃貸として貸し出すほか、リフォームやリノベーションを行えばさまざまな用途で活用可能です。どのような活用方法が適しているかは、立地や建物状況などによって異なるので、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。国や自治体の支援も、ぜひチェックしてみてくださいね。