インデックスファンドVSアクティブファンド!どっちを選ぶ?違いを徹底比較!
投資信託には代表的な分類として「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類がありますが、違いがよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
近年は新NISAの非課税枠を活用してインデックスファンドやアクティブファンドに投資する人も増えていますが、それぞれの特徴をよく理解し、自分に合ったファンドを選ぶことが大切です。
この記事では、インデックスファンドとアクティブファンドの特徴や違いについて、比較しながら詳しく解説します。
自分に合ったファンドの選び方や確認すべきポイント、それぞれのファンドに向いている人についても合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
・目次
インデックスファンドとアクティブファンドとは
投資信託は、大まかに「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2つに分けられます。
ここでは、インデックスファンドとアクティブファンドの特徴について詳しく解説します。
インデックスファンドの特徴
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500といった特定の株価指数(インデックス)に連動することを目指すファンドのことをいいます。
株価指数には、日本から米国、世界までさまざまで、以下のような種類があります。
株価指数 |
国や地域 |
組み入れられている銘柄 |
日経平均株価 |
日本 |
日本の代表的な225銘柄の株価の平均 |
TOPIX(東証株価指数) |
日本 |
東証プライム市場の全銘柄が対象 |
グロース市場指数 |
日本 |
新興企業中心のグロース市場の動きを表す |
NYダウ(ダウ工業株30種平均) |
米国 |
アメリカを代表する30社の平均株価 |
S&P500 |
米国 |
米国を代表する約500銘柄で構成 |
ナスダック総合指数 |
米国 |
ナスダックに上場している米国内外の約3,300銘柄で構成 |
FTSE(フィツィ100) |
イギリス |
ロンドン証券取引所上場の代表的な100銘柄で構成 |
DAX(ダックス) |
ドイツ |
フランクフルト証券取引所の代表的な40銘柄で構成 |
上海総合指数 |
中国 |
上海証券取引所のA株・B株すべての銘柄が対象 |
ハンセン指数 |
香港 |
香港市場の主要33銘柄で構成 |
MSCIワールドインデックス |
世界 |
世界23カ国の先進国の株式市場を網羅している |
これらの株価指数に連動するインデックスファンドは、それぞれの市場全体の動きに合わせて基準価額が変動するため、初心者にもわかりやすく投資しやすいという特徴があります。
例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドに投資した場合、ニュースで毎日報道される日経平均株価を見ることで、投資したファンドが上がっているか、下がっているかがわかります。
米国の株に投資したいけれど、どの企業を選べばよいかわからないという場合は、「S&P500」に連動するインデックスファンドに投資することで、米国の時価総額上位500社に分散投資していることになります。
また、日経平均株価とTOPIXのどちらにするか迷った場合は、
● 日本の株式市場全体に投資したい場合は「TOPIX」
● 日本の代表的な企業225社に絞って投資したい場合は「日経平均株価」
に連動するインデックスファンドを選ぶと良いでしょう。
このように、インデックスファンドを選ぶ際は、株価指数の特徴をよく理解して、自分の考えに合ったものを選ぶことが大切です。
一般社団法人 投資信託協会による『数字で見る投資信託』によると、2025年4月末時点で、株式投資信託におけるインデックスファンドの割合は61.7%となっており、インデックスファンドの人気が高いことがわかります。
「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の違い
「S&P500」や「ダウ工業平均」など、海外の指数に連動するインデックスファンドの場合「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の両方が存在します。
為替ヘッジあり・なしの特徴は以下のとおりです。
|
為替ヘッジあり |
為替ヘッジなし |
為替の影響 |
基本的に受けない |
基準価額が円安だと増える・円高だと減る |
メリット |
為替変動による損失を抑えられる |
円安で増えるため恩恵を受けられる |
デメリット |
円安になっても基準価額が増えない |
円高になると損失が出る |
コスト |
為替ヘッジコストが発生する場合がある |
為替ヘッジのコストがかからない |
海外の株価指数に連動するインデックスファンドを選ぶ際は、「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」のどちらにするかもきちんと検討しましょう。
長期で資産形成を検討している人は、為替ヘッジのコストによって長期の運用パフォーマンスが低下する可能性があることから「為替ヘッジなし」を選ぶ人が増えています。
アクティブファンドの特徴
アクティブファンドとは、ファンドマネージャーの判断によって選ばれた銘柄に投資し、市場平均(例:TOPIXやS&P500などの代表的な株価指数)を上回るリターンを目指すファンドです。
ファンドマネージャーが市場の動向や企業の業績・今後の計画等を丁寧にリサーチ・分析し、将来的に値上がりが期待できる銘柄を選んで投資します。
アクティブファンドはインデックスファンドに比べて運用の自由度が高いことから、タイミングによっては大きなリターンを狙うことも可能です。
銘柄選びでは、ファンドマネージャーの独自の視点や戦略が組み込まれるため、アクティブファンドはそれぞれに個性があり、パフォーマンスにも差があります。
例えば、アクティブファンドAとアクティブファンドBの上位組み入れ銘柄は以下のようになっており、大きな違いがあることがわかります。
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上位10銘柄 |
ファンドA |
・ソニーグループ ・三菱UFJフィナンシャル・グループ ・日立製作所 ・三井住友フィナンシャルグループ ・東京海上ホールディングス ・伊藤忠商事 ・キーエンス ・豊田自動織機 ・トヨタ自動車 ・リクルートホールディングス |
ファンドB |
・フジ・メディア・ホールディングス ・ソニーグループ ・富士通 ・東京海上ホールディングス ・日本電気 ・川崎重工業 ・鹿島建設 ・第一生命ホールディングス ・アシックス ・HOYA |
このように、アクティブファンドにはそれぞれ個性があるため、ファンドマネージャーの運用方針に共感できるような、自分の考えに合ったファンドを選ぶことが大切です。
ただし、アクティブファンドの運用には人件費やリサーチの費用などがかかるため、信託報酬が高めに設定されるのがデメリットです。
また、アクティブファンドは市場平均を上回るリターンを目標にしているものの、結果的に市場平均を下回る可能性があるため、投資する側には一定の知識やリスク許容度が必要といえます。
インデックスファンドやアクティブファンドを含む投資信託に関心がある方は、「そもそも株と投資信託の違いが知りたい」という場合もあるでしょう。
そのような方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
インデックスファンドとアクティブファンドの違いをわかりやすく徹底比較!
インデックスファンドとアクティブファンドの違いは、以下のとおりです。
● 運用方針
● 組み入れ銘柄
● 信託報酬などの手数料
● ファンドの数
● リターンの目標
それぞれの違いを、比較しながら詳しく解説します。
運用方針
インデックスファンドとアクティブファンドの運用方針の比較は、以下のとおりです。
|
インデックスファンド |
アクティブファンド |
目的 |
指数に連動したリターンを目指す |
市場平均を上回るリターンを目指す |
運用手法 |
対象の指数に連動するように、あらかじめ決められたルールに従って銘柄を組み入れて運用する |
ファンドマネージャーが企業分析を行い、銘柄を選定する |
銘柄選定基準 |
指数に組み入れられている全銘柄 |
成長性や将来性などを独自基準で選定 |
運用者の役割 |
ほぼなし(人の判断をほとんど必要としない) |
大きい(ファンドマネージャーが分析・判断する) |
柔軟性 |
低い(指数に忠実である) |
高い(相場や成績に応じて銘柄や比率を柔軟に変更する) |
リバランス頻度 |
少ない |
多い(状況に応じて頻繁に見直しする) |
パフォーマンス |
市場平均とほぼ同じ |
市場平均を上回ることもあれば、下回ることもある |
インデックスファンドの運用方針は、市場平均に連動することです。
株価指数に構成されている銘柄を同じ比率で保有することで、指数の動きに合わせたパフォーマンスを目指します。
一方で、アクティブファンドはファンドマネージャーが独自に企業リサーチを行い、業績が良い企業や将来性が高い企業を選んで投資をします。
アクティブファンドは市場平均を超えるリターンが目標です。
そして、ファンドマネージャーの手腕によっては、市場平均を大きく上回る利益を得られる可能性があります。
組み入れ銘柄
インデックスファンドの組み入れ銘柄は、連動する株価指数によって変わります。
例えば、日経平均株価への連動を目指すインデックスファンドは、225社を対象に組成された指数に連動するため、同じ225銘柄を組み入れています。
そして、日経平均株価の組み入れ銘柄が見直されるタイミングで、インデックスファンドの組み入れ銘柄も調整されます。
一方で、アクティブファンドは、ファンドマネージャーの判断によって投資銘柄が選ばれます。
アクティブファンドは自由な運用ができるため、「成長が期待される中小企業株」や「特定のテーマに基づいた企業」など、ファンドごとに多様な銘柄が組み入れられます。
どの銘柄に投資するかによってファンドのパフォーマンスが大きく変わるため、ファンドマネージャーの能力や手腕が運用成績に大きな影響を与えます。
信託報酬などの手数料
信託報酬とは、投資信託の運用や管理にかかるコストで、投資信託を保有している期間、継続してかかる手数料です。
インデックスファンドとアクティブファンドでは、以下のように信託報酬などの手数料が異なります。
|
インデックスファンド |
アクティブファンド |
信託報酬の平均的な水準 |
0.1%~0.3%程度 |
1.0%~2%程度 |
購入時手数料 (販売会社によって設定される) |
なし、もしくは数% |
なし、もしくは3%程度 |
信託財産留保額 |
基本的になし |
一部のファンドで発生する可能性がある |
その他のコスト |
売買手数料 |
|
運用コストの合計 |
非常に低い(長期投資に向いている) |
高い(リターンとのバランスを考える必要がある) |
コストとリターンの関係 |
低コストなのでリターンにほとんど影響を及ぼさない |
高コストなので市場平均をある程度上回る必要がある |
インデックスファンドは運用がほぼ自動化されておりコストがかからないため、信託報酬が低く抑えられています。
また、近年は手数料を限界まで下げた非常に低コストのファンドも登場しており、長期保有をする場合は大きなメリットとなります。
一方で、アクティブファンドは専門の運用チームが企業を訪問したり、専門的なリサーチを行ったりしてコストがかかるため、信託報酬は高めに設定されています。
また、ファンドによっては成功報酬が設定されていることもあり、その場合は信託報酬がより高くなる傾向にあります。
投資期間が長くなればなるほど、コストの差が大きな影響を与えるため、信託報酬の比較は、ファンド選びで大きなポイントとなります。
インデックスファンドとアクティブファンドの信託報酬の例
インデックスファンドとアクティブファンドの信託報酬は、実際にはどのくらいの違いがあるのでしょうか。
インデックスファンドとアクティブファンドをピックアップし、信託報酬を以下にまとめました。
ファンド名 |
タイプ |
信託報酬 |
eMAXIS Slim |
インデックス |
0.143% |
ニッセイ日経225インデックスファンド) |
インデックス |
0.275% |
ひふみプラス(日本株) |
アクティブ |
1.078% |
フィデリティ・日本成長株・ファンド |
アクティブ |
1.683 %
|
eMAXIS Slim 米国株式 |
インデックス(為替ヘッジなし) |
0.0814% |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
インデックス(為替ヘッなし) |
0.05775% |
楽天・全米株式インデックスファンド |
インデックス(為替ヘッジなし) |
0.162 %
|
ブラックロック米国小型成長株式オープンAコース(為替ヘッジなし) |
アクティブ(為替ヘッジなし) |
1.683% |
グローバル・フィンテック株式ファンド |
アクティブ(為替ヘッジなし) |
1.925% |
このように、インデックスファンド・アクティブファンドそれぞれの中でも、信託報酬に違いがあることがわかります。
インデックスファンドを選ぶ際は、内容はほぼ同じなので信託報酬が低いものを選ぶと良いでしょう。
アクティブファンドは、それぞれの運用方針や組み入れ銘柄などに個性があります。
信託報酬だけで選ぶのではなく、運用方針や過去の実績、組み入れ銘柄などを総合的に判断して決めるようにしましょう。
ファンドの数と選び方
インデックスファンドは、日本国内外の主要な株価指数に連動するものが多いため、種類は比較的限られています。
インデックスファンドを選ぶ際は、まず希望する株価指数に連動するファンドを選び、その中から信託報酬が最も低いものを選択しましょう。
それに対してアクティブファンドでは、テーマ別のファンドや業種に特化したファンド、小型株集中型のファンドなど、さまざまな戦略や運用方針に基づくファンドがあり、数としては非常に多くなっています。
アクティブファンドごとにリスクも異なりますので、運用実績や運用方針、投資先の国などをきちんと把握して、慎重に決めることが大切です。
アクティブファンドの数は非常に多いため、ファンド選びは手間や時間がかかりますが、納得して投資を続けるためにもしっかりと選別して選ぶことが大切です。
インデックスファンド?アクティブファンド?見分ける方法
投資信託を選ぶ際に「インデックスファンド」なのか「アクティブファンド」なのか、わからないことがあるかもしれません。
最も簡単な見分け方は、目論見書(もくろみしょ)や運用方針の記載内容を確認することです。
インデックスファンドの場合は「TOPIX」や「S&P500」など、特定の株価指数に連動する運用を目指すと明記されています。
また、ファンドの名前に「インデックス」や「〇〇連動型」と表記されていることが多くなっています。
一方で、アクティブファンドは「市場平均を上回る成果を目指す」など、指数を上回る運用成績を目標にしていることが明記されています。
名前も「厳選」や「高成長」「戦略」といった表現が使われる傾向があります。
また、信託報酬もファンドを見分けるポイントのひとつです。
一般的に、インデックスファンドの信託報酬は年0.1%~0.3%と低く抑えられています。
一方で、アクティブファンドは1%~2%前後と高めに設定されています。
このように、運用方針や名前、信託報酬を確認することで、インデックスファンドかアクティブファンドかを見分けることが可能です。
インデックスファンドの選び方や確認すべきポイント
インデックスファンドの選び方や確認すべきポイントは、以下のとおりです。
● 信託報酬が低いか
● 連動する株価指数が明確か
● 総資産総額が大きいか
● 運用実績が安定しているか
信託報酬が低いか
インデックスファンドの最大のメリットは、信託報酬が低く低コストで運用できることです。
長期運用になればなるほど、低コスト運用のメリットを生かせますので、できるだけ信託報酬が低いファンドを選ぶようにしましょう。
年0.1%前後のファンドを選ぶと、長期投資で大きなメリットを得られます。
連動する株価指数が明確か
株価指数には、日経平均やTOPIX(日本)、S&P500やダウ工業平均(米国)、MSCI(オールカントリー・ワールド・インデックス)など、さまざまな種類があります。
自分の投資目的(投資先やリスク許容度など)をしっかりと把握し、それに合った株価指数を選ぶようにしましょう。
TOPIXに連動するファンドを選びたかったのに、間違って日経平均株価に連動するファンドを選んでしまった、ということもありますので、よく確認して投資することが大切です。
純資産総額が大きいか
純資産総額とは、そのファンドに投資されている金額の総額を指し、投資家からの信頼や人気のバロメーターとも言えます。
一般的に、純資産総額が大きいファンドほど運用が安定しやすいという特徴があります。
純資産総額が少ないファンドは、運用会社にとっては収益性が低く、採算が合わなくなると途中でファンドが終了してしまうこともあります。
このような状況を「繰上償還」といいますが、繰上償還が起きると強制的にファンドが売却され、場合によっては損失が出ることもあるため、注意が必要です。
純資産総額が100億円以上あるかどうかが一つの目安になるため、事前に確認するようにしましょう。
運用実績が安定しているか
インデックスファンドでは、実際のリターンと株価指数がきちんと連動しているかを確認しましょう。
例えば、TOPIXのリターンが年間+5.0%だったのに対し、そのインデックスファンドのリターンが+4.7%だった場合は、「目標となる指数から0.3%乖離した」ということになります。
このような乖離はトラッキングエラーと呼ばれ、運用報告書の中では「ベンチマークとの差異」「ベンチマーク比」などという形で記載されています。
ベンチマークとの差異が1%未満の場合は、「指数に連動する」という目標通りにしっかり運用されており、安定したパフォーマンスができていると判断できます。
一方で、差異が2~3%ある場合は、運用がベンチマークからずれており、インデックスファンドとしては不安定といえます。
インデックスファンドを選ぶ際は、運用報告書などを見て、運用実績と株価指数との乖離幅を確認するようにしましょう。
アクティブファンドの選び方や確認すべきポイント
アクティブファンドは大きなリターンを狙えるという魅力がある一方で、ファンドごとで特徴が大きく異なるため、自分に合ったファンドを慎重に選ぶ必要があります。
アクティブファンド選びで確認したいポイントは、以下のとおりです。
● 過去の運用実績が市場平均を上回っているか
● 運用レポートが充実しているか
● 信託報酬がリターンに見合っているか
● 純資産総額の規模
● ファンドの投資スタイルが自分に合っているか
過去の運用実績が市場平均を上回っているか
アクティブファンドは、インデックスファンドと異なり「市場平均を上回る成果を残す(ベンチマーク超え)」ことが目標です。
そのため、過去の運用で、その目標がどれほど達成されているかを確認することはとても重要です。
具体的には、直近1年だけでなく、3年・5年・10年といった複数の期間でのリターンを確認しましょう。
短期的な成績が良くても、長期的に安定した成果を出せていない場合は、「市場が追い風となり、偶然良い成績が出ただけ」という可能性もあります。
また、実績を確認する際は、ベンチマークとの比較も大切です。
例えば、日本株のアクティブファンドが5%の実績を出していても、TOPIXなどの指数の実績が6%だった場合、優れた運用をしているとは言えません。
また、アクティブファンドは信託報酬が高いため、コストを差し引いた後の結果が、市場平均を上回っているかを確認することも大切です。
アクティブファンドはあくまでも市場平均を上回ることが最低条件のため、運用実績を確認する際は株価指数と比較するようにしましょう。
ただし、過去に良い実績を出していても、将来の成績を保証するものではないということも理解しておきましょう。
運用レポートは充実しているか
アクティブファンドを選ぶ際に重視したいポイントが「運用レポートの充実度」です。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自の判断で銘柄を選定したり、投資タイミングを決めたりします。
投資家は、その判断の根拠や理由、戦略を確認し、投資を続けるかどうかを判断する必要があります。その情報源となるのが運用レポートです。
一般的には、運用レポートは月次・四半期・年次といったタイミングで発行されますので、以下の点がしっかり記載されているかを確認しましょう。
● 銘柄の選定理由
● 投資戦略の方針や、その狙い
● マーケット分析による今後の見通しや考え方
● 前月や前期からのパフォーマンスの要因分析
これらの情報がわかりやすい言葉で丁寧に説明されているファンドは、運用姿勢が誠実であり、情報開示への意欲が高い、良いファンドと判断できます。
長期的に資産を預ける投資先として信頼できるかどうかは、運用レポートの質にも表れると考えておきましょう。
信託報酬がリターンに見合っているか
アクティブファンドで必ず確認したいポイントが「信託報酬がリターンに見合っているか」ということです。
信託報酬はファンドの保有中ずっと差し引かれる費用であり、アクティブファンドの信託報酬は年率1.0%~2.0%程度と、比較的高めに設定されているのが一般的です。
リターンが低いのに高い信託手数料を支払い続けると、場合によってはインデックスファンドよりもパフォーマンスが低くなる可能性もあります。
例えば、信託報酬が年1.5%かかるアクティブファンドであっても、市場平均よりも年2~3%高いリターンが継続的に得られている場合は、高い手数料を支払っても十分なメリットがあると判断できます。
しかし、市場平均よりも1%高いだけ、という場合は、高い信託報酬が利益を圧迫する形になり、アクティブファンドを選ぶ理由はなくなるといえます。
アクティブファンドを選ぶ際は、リターンと信託手数料を把握し、総合的に判断するようにしましょう。
純資産総額の規模
インデックスファンドの場合と同様に、純資産総額の規模が大きいファンドは、安定性が高いと言えます。
特にアクティブファンドは、純資産総額が少ないとコスト比率が高くなる傾向にあります。
また、資金流出が続いた場合は投資していた銘柄の売却をしなければならなくなり、ファンドのパフォーマンスに悪影響を及ぼすこともあります。
インデックスファンドと同様に、100億円以上あるファンドは安定した運用が期待できます。
ファンドの投資スタイルが自分に合っているか
ファンドの投資方針が自分の考えに合っているかという点も、アクティブファンドを選ぶうえで重要なポイントです。
アクティブファンドでは、ファンドごとに投資する地域や業種、企業規模、リスクの取り方などの考え方が異なります。
そのため、自分の投資スタイルに合ったファンドを選ばないと、運用中に不安やストレスを感じたりして、納得できる投資ができなくなります。
例えば、「安定的に資産を増やしたい」「リスクを抑えたい」という場合は、大型株を中心としたポートフォリオを組んでいるアクティブファンドがおすすめです。
逆に、「リスクが高くても、最大限のリターンを目指したい」という場合は、これから大きな成長が見込まれる新興企業や、将来性が高いとされる分野に集中投資するようなファンドも選択肢のひとつとなります。
アクティブファンドは個性が強くさまざまな種類があるため、まず「自分はどのような投資したいか」をしっかりと考え、それに合ったファンドを慎重に選ぶようにしましょう。
どっちを選ぶ?インデックスファンドが向いている人の特徴
インデックスファンドは市場全体に広く分散投資する仕組みのため、運用のブレが少なく、安定的な運用を希望する投資家に支持されています。
ここでは、インデックスファンドが向いている人の特徴を詳しく解説します。
投資初心者でリスクを抑えたい人
インデックスファンドは数百銘柄以上に分散投資することが多く、値動きが穏やかになる傾向があります。
一方で、アクティブファンドは様々な銘柄に投資するため比較的値動きが大きくなりやすい傾向があります。
リスクを抑えた投資をしたい人は、値動きが比較的穏やかなインデックスファンドから始めると良いでしょう。
長期的に資産を増やしたい人
インデックスファンドは、短期的な利益を狙うというよりも、市場全体の成長に連動して資産をじっくり増やすという手法に向いており、リスクも比較的低いことが特徴です。
運用期間の中で景気の波があったとしても、長期的に経済が成長すればファンドの価値も上がっていきます。
また、値動きの幅も比較的少ないため、ストレスなく投資を続けられるというメリットもあります。
リスクを抑えつつ、市場全体の成長に合わせて安定的なリターンを期待したい場合は、インデックスファンドを選ぶと良いでしょう。
投資コストを抑えたい人
インデックスファンドは、信託報酬が年0.1%~0.3%と運用コストが低いことが魅力です。
一方で、アクティブファンドはファンドマネージャーによる調査や運用などのコストがかかるため、年1%~2%と高めに設定されています。
長期投資では、信託報酬のコストの差がリターンに大きく影響してきます。
長期運用で、なおかつシンプル・低コストの運用を希望する場合は、インデックスファンドを選ぶようにしましょう。
投資に手間や時間をかけたくない人
インデックスファンドは株価指数に連動する仕組みで運用しています。
ファンドの成績は指数の動きに基本的には比例するため、細かくファンド内容を確認したり、乗り換えを検討したりする必要はほとんどありません。
また、ファンドマネージャーの能力によって成績が左右されることもないため、投資家自身が運用方針を確認したり、定期的に実績を確認する必要もありません。
インデックスファンドは「ほったらかしで投資できる」ため、忙しいビジネスマンや家事・育児に追われている人に特に適していると言えます。
投資に時間や手間をかけることなく、低コスト運用で長期的な資産形成をしたい場合は、インデックス投資が向いていると言えるでしょう。
市場全体が成長すると考えている人
インデックスファンドは、市場全体が今後も成長すると考えている人に適した投資先です。
インデックスファンドは、日経平均やTOPIX、S&P500など、連動を目指す株価指数と同じ動きをします。
個別企業ではなく経済や産業全体の成長を取り込める仕組みになっているため、長期的に市場が成長すると予想する投資家にとって、適した投資手段と言えます。
また、日本だけでなく、特定の国が成長すると考える場合は、インデックスファンドを通じて手軽に投資ができます。
例えば、インド全体が成長すると考えるのであれば「MSCIインド・インデックス」、ブラジルであれば「ボベスパ指数」、世界経済全体の成長に投資したい場合はMSCI・ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)があります。
このように、投資したい国や地域の株価指数に連動するインデックスファンドを選ぶことで、市場の成長に応じて利益を得られます。
手間をかけずに様々な国の成長に投資したい人にも、インデックスファンドは適していると言えます。
アクティブファンドが向いている人の特徴
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが積極的な方法で投資を行う投資信託です。
インデックスファンドに比べてリスクが高いため、ファンドの運用方針や実績・投資先などの運用レポートなどを自分で確認し、慎重にファンドを選ぶ必要があります。
ここでは、アクティブファンドが向いている人の特徴について解説します。
市場平均以上のリターンを狙いたい人
アクティブファンドの最大の魅力は、市場平均を上回るリターンを目指せることです。
「インデックスファンドの利益では満足できない人」や、「できるだけ積極的に利益を狙っていきたい人」にとって、アクティブファンドは向いていると言えます。
ただし、アクティブファンドは市場平均以上のリターンを「目指す」のであって、実際に実現できるかどうかは別問題です。
市場平均を上回るリターンが保証されているわけではないため、リスクとリターン、コストを総合的に判断して投資するかどうかを決めるようにしましょう。
価格変動のリスクを受け入れられる人
アクティブファンドは積極的な運用を行います。ファンドによっては、値動きが大きい銘柄や特定の業種に集中投資するため、基準価額が大きく変動する可能性があります。
短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点を持って投資できる人は、アクティブファンドに向いているといえるでしょう。
経済や企業分析に興味がある人
アクティブファンドでは、運用レポートなどを通じて運用方針や投資先、今後の見通しなどを確認し、自分の考えに合ったファンドを選ぶ必要があります。
自分自身で経済ニュースや企業の決算、為替の状況などを分析して、今後市場がどのように動くのかを考えるのが好きな人は、ファンドマネージャーの視点や運用方針に共感しながら投資を楽しめるでしょう。
投資に能動的に関わりたい人にとっては、アクティブファンドは魅力的な選択肢と言えます。
定期的に投資ファンドを見直したり乗り換えたりできる人
アクティブファンドでは、投資成績が思わしくない場合や、市場のトレンドや成長分野が変わった場合に柔軟に見直しができる人が向いています。
例えば、「電気自動車」や「AI」「クリーンエネルギー」など、特定の分野に集中投資するアクティブファンドを選んでいた場合、それらの分野の成長が鈍化し始めたタイミングで、柔軟にファンドの見直しや乗り換えを検討する必要があります。
アクティブファンドでは、運用レポートや日々の経済状況をチェックしながら、状況に応じてファンドの見直しができる人に向いているといえます。
信託報酬が高くても納得できる人
アクティブファンドは調査や分析・運用に費用がかかるため、信託報酬が高く設定されています。
そのため、高い手数料を支払っても、市場平均を上回るリターンを目指したい人に向いています。
また、市場環境や運用方法によっては、期待していたリターンが得られないこともあります。
予想通りの結果にならなかった場合もストレスを感じることなく投資を続けられる人にも、アクティブファンドは向いていると言えます。
インデックス・アクティブ投資には新NISAを活用しよう
2024年から始まった「新NISA(少額投資非課税制度)」は、インデックスファンドとアクティブファンドの両方に対応しており、投資初心者から経験者まで、幅広い層にとって魅力的な制度となっています。
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つが用意されており、年間で最大360万円、合計で1,800万円の非課税投資が可能です。
成長投資枠では、インデックスファンド・アクティブファンドどちらにも比較的自由に投資できますが、「つみたて投資枠」では金融庁が認めた「つみたて投資枠対象商品」のみに投資できます。
この「つみたて投資枠対象商品」はインデックスファンドがメインになっており、2025年5月時点で、インデックスファンドが259本、アクティブファンドは57本、ETFが8本となっています。
自由にアクティブファンドを選びたい人は、比較的自由に投資ができる「成長投資枠」を活用すると良いでしょう。
新NISAについては、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
インデックスファンドとアクティブファンドにはそれぞれ特徴があるため、自分の考え方や投資スタイルに合うファンドを選ぶ必要があります。
安定的な運用を目指したい場合はインデックスファンド、市場平均を上回るリターンを目指す、積極的な投資をしたい場合はアクティブファンドがおすすめです。
新NISAを活用すると、インデックスファンド・アクティブファンドどちらであっても、非課税のメリットを享受しながら効率的に長期の資産形成ができます。
自分の考えに合ったファンドに投資し、将来に向けた資産形成を始めてみましょう。
伊藤久実
伊藤FP事務所代表。ファイナンシャルプランナー(AFP)兼ライター。
大学卒業後、証券会社・保険コンサルタントを経て事務所代表兼フリーライターとして活動を始める。家計の見直しから税金・保険・資産運用まで、人生の役に立つ記事を幅広く執筆している。