インド株おすすめの銘柄や投資信託は?
成長の背景やリスク・投資法まで解説

インドは次世代の成長市場として期待されており、インド株に投資する人も増えています。

しかし、インド株投資は日本株や米国株に比べてリスクが高い面があるため、新興国ならではのリスクや投資法・注意点をよく理解し、正しい知識を持って投資することが大切です。

この記事では、インド株投資の魅力やおすすめの銘柄や投資信託、注意点などについてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

・目次


なぜインド株に注目が集まっているのか?

インドは世界有数の経済成長国であり、さまざまな理由から、今後の成長も大きく期待できる国として注目を集めています。

インドは2024年度の実質GDP成長率は約6.5%となっており、中国や先進国を上回るペースとなっています。

国名

実質GDP成長率(2024年度)

インド

約6.5%

中国

約5.0%

日本

約0.1%

米国

約2.8%

ドイツ

約―0.2%(マイナス)


また、インドの人口は約14億人と非常に多く、その半数以上が30歳未満という構造のため、将来の労働力確保や消費拡大という面でも、非常に強みがあります。

また、モディ政権が推進している経済政策「メイク・イン・インディア」により、国内製造業が強化され、国際的な企業によるインドへの投資が促進されています。

企業分野ではITサービスはもちろんのこと、製造業や再生可能エネルギーなど幅広い分野で成長が加速しています。また、旺盛な内需拡大やインフラ整備に伴う都市化も、インドの経済成長を支えています。

モディ政権は継続することが考えられるため、今後もこれらの政策をもとにインド経済がより発展する可能性が高く、企業収益と株価上昇が期待できると考えられます。

なぜインド株がおすすめなの?世界の投資家がインドに着目する理由

インド株は米国や欧州の機関投資家や新興国ファンドから高い注目を集めており、その理由としては以下が挙げられます。

  • 高い経済成長率
  • 英語が公用語でありビジネス環境が整っている
  • 法制度が比較的安定している
  • 中国への依存を減らしたい企業が増えている
  • インド国内の都市化が進んでいる

特に、生産拠点を中国からインドに移転する企業が増えており、製造業や半導体産業への投資が加速しています。

また、インドの強みであるIT分野でもフィンテックやEコマース企業が急成長し、グローバルな市場でも存在感を高めています。

加えて、インドの都市化も進んでおり、都市化による内需の拡大や、インフラ需要もインドの成長を後押ししています。

このような背景から、インド株は新興国の中でも特に長期的な資産形成に適した投資先と考えられています。


インド株投資のメリットとデメリット

インド株は非常に注目されている投資先ですが、メリットとデメリットがあるため、それぞれをよく理解することが大切です。

ここでは、インド株投資のメリット・デメリットについてそれぞれ詳しく解説します。

インド株投資のメリット

インド株投資のメリットは、大きく分けて5つあります。

1.高成長企業が多い

インドには、ITや製造、金融、通信など、幅広い分野で世界的な競争力を持つ企業が多くあります。

特に、5年間のCAGR(年平均成長率)が20%を超える企業も多く、成長率が高い企業が多いこともインドの特徴です。

インド経済の拡大や成長を背景に、引き続き売上や利益ともに成長を続ける企業が多いと考えられるため、インド株の長期的な株価上昇が期待できます。

2.若年人口が多く中長期でのリターンが期待できる

インドの人口の中央値は約28.8歳と非常に若く、安定した労働力が豊富なため、今後数十年にわたって消費市場や生産力が伸び続ける構造となっています。

一方で、日本の人口の中央値は49.8歳(2025年)となっており、今後は労働人口が先細りし、経済成長や消費力に悪影響を及ぼすことが懸念されています。

インドは若い人口に下支えされ、継続的に成長すると考えられることから、インドは長期投資の対象国として非常に魅力があると言えます。

3.世界的な企業がインドに投資している

アップルやアマゾン、グーグルなどの世界的な企業がインド市場に参入していることも、インド株の成長が期待できる理由です。

例えば、グーグルはインド南部に60億ドルでデータセンターを建設する計画で、処理能力や投資額はアジア最大となる予定です。

また、アップルは多くのiPhone製造をインドに移しており、調査会社カナリスの調査によると、2025年4-6月(第2四半期)に米国に出荷されたスマートフォンのうち、インド製が44%を占め、初めて1位となりました。

加えて、テスラやサムスンなどもインドに生産拠点を移転しています。

インド政府は、PL制度(生産連動型インセンティブ)を設けており、その後押しを受けて2024年の製造業投資は前年比30%増となっています。

このように、政府のさまざまな推進策によってグローバル企業がインドに進出していることも、インド株の成長が期待される大きな要因となっています。

ただし、トランプ大統領は生産拠点が米国外にあることに不満を示しており、米国内での製造拠点を拡大するように促しているため、将来米国に拠点を移す企業が出てくる可能性もあります。

しかし、現時点ではインド投資が加速する状況が続いており、今後も継続すると考えられています。

4.中国に代わる受け皿として投資マネーが流入している

インドは「チャイナ+1」として、以下のような理由により、中国に代わる受け皿として注目されています。

  • 米中対立の激化により中国一極集中のリスクが高まる
  • 台湾有事や南シナ海問題などの有事の可能性が上昇してきている
  • 中国の労働コストが上昇し、東南アジア諸国やインドを上回ってきている
  • インド市場の魅力が上昇してきた(豊富な労働力や政府の投資誘致政策)

インドはこのように高い成長率が期待できること、政治的にも安定していることから、生産拠点としてだけではなく、安定した投資先として投資マネーの重要な受け皿となっています。

「MSCI新興国指数」では、2024年8月時点におけるインド株の比重は19.8%に上昇しています。これは中国の比重(約25%)に迫る勢いで、投資マネーが中国からインドへとシフトしていることを反映しています。

5.日本からETFや投資信託で簡単に投資できる

日本の投資家は、「NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信」や「iシェアーズMSCIインド指数」など、国内の証券会社で購入可能なETF・投資信託を通じてインド株に投資可能です。

低コストで手軽に分散投資ができることから、インド株に投資しやすい環境が整っています。

また、新NISAを利用して投資できるため、一定額までの利益が非課税になることも大きなメリットです。

新NISAについては、以下の記事も参考にしてください。

NISAとつみたてNISAの違いは何?初心者はどちらを選ぶべきか徹底解説

インド株投資のデメリット

インド株投資には、メリットだけではなくデメリットもあるため、きちんと理解しておくことが大切です。ここでは、インド株投資のデメリットについて解説します。

1.為替のリスクがある

インド株式はインドルピー建てのため、最終的なリターンは「インド株価の変動」+「為替の変動」によって決まります。

インドルピーは新興国の通貨のため、ドルや円、ユーロなどの先進国通貨に比べて安定性が低く、変動率が高い傾向があるため注意が必要です。

インド株に投資する投資信託には「米ドル建て」と「円建て」の2種類があります。

インド株(ADR)は米ドル建てですが、投資信託には「米ドル建て」と「円建て」の2種類があるため、投資する際に確認しましょう。

「米ドル建てのインド株投資信託」の場合、「ドル高・インドルピー安」の場合、米ドル換算で資産額が減少します。逆に、「ドル安・インドルピー高」の場合は、米ドル換算で資産額が増えます。

「円建てのインド株投資信託」の場合は、「円高・インドルピー安」で日本円換算の資産額が減少します。逆に、「円安・インドルピー高」の場合は、円建ての資産額が増えます。

このように為替の動きが資産額に影響を及ぼします。インド株投資では、為替の変動リスクを受け入れる必要があることを覚えておきましょう。

為替の影響を避けたい場合は、為替ヘッジがある投資信託という選択肢がありますが、為替ヘッジのコストがかかるため、長期投資には向いていません。

近年のインド株指数の上昇率が高いため、為替の変動でマイナスが出たとしても、最終的にプラスになる例が多くなっています。

長期投資でインド株に投資する場合は、コストが低い「為替ヘッジなしの投資信託」を検討すると良いでしょう。

2.政治や規制のリスクがある

インドは民主主義国家ですが、政権交代や規制の変更によって市場環境が急に変化する場合があります。

近年のインドの成長は、モディ政権の経済政策によるものが大きいと言えます。モディ政権は2014年5月に誕生し、今日まで約11年間続いています。この間、一貫した政策でインド経済の成長をけん引してきました。

しかし、今後政権が変わった場合、政府の方針が大きく転換される可能性もあります。

また、モディ政権が継続した場合でも、特定の業種への規制が強化されたり、税制が変更されたりする可能性はゼロではありません。大きな政策変更があると、企業業績に影響を与える場合もあるため注意が必要です。

インド株に投資する際は、選挙や政情、政府の方針など、情報収集を継続的に行うことが大切です。

3.情報の透明性・信頼性に問題がある

インド企業の情報開示レベルは、日本や米国と比べるとまだ発展途上にあると言えますが、以下のようなルールがあり、上場企業や大手企業を中心に、近年かなり改善されてきています。

  • インドの証券取引委員会と会社法に基づき、財務報告や年次報告書の開示義務がある
  • IFRS(国際財務報告基準)に準拠した「インド版会計基準」が導入され、国際的な基準に近づいている
  • 上位の企業は英文のレポートを用意しており、海外投資家がリアルタイムで情報を入手しやすいように工夫している

ただし、中小企業や新興企業では、情報更新の頻度が低く、最低限の開示に留まっている場合があります。

また、企業によっては現地の言語の資料しか開示しない場合もあります。

投資家向け広報(IR)の文化や重要性について、米国ほどは根付いていないため、情報を得にくいということを覚えておきましょう。

4.ボラティリティ(価格変動)が大きくなりやすい

インド株は世界的にみても成長性が高く期待できる市場ですが、その一方で価格変動が大きい、つまりボラティリティが大きいという特徴があります。

価格変動が大きいと、短期で大きな利益を得られるチャンスになります。しかし、予想外に大きな損失が出てしまうリスクも伴うため、注意が必要です。

新興国市場において、ボラティリティが大きくなる理由としては以下が挙げられます。

  • 外的要因(米国の金利動向や原油価格の変動、ドルの為替レートなど)に敏感である
  • 外国人投資家の比率が高い
  • 選挙や政策変更などで株価が急変することがある

インド株では外国人投資家が多く、リスクオフ局面では外国人投資家が一斉に資金を引き上げるケースが多いため、株価が急落する場合もあります。

インド株投資では、短期の値動きに振り回されないよう、長期的な視点で投資することが大切です。

5.配当利回りが低いケースが多い

インド株は、高成長が期待できる反面、配当利回りが低い銘柄が多いという特徴があります。

これは、インド企業の多くが、株主への配当還元よりも、事業の拡大や設備投資に資金を投入する傾向があるからです。

配当目的で投資する場合は、配当の方針や過去の配当実績を事前に確認しましょう。

一般的には、インド株投資では、高配当を狙うよりも株価成長によるキャピタルゲインを狙う投資戦略が適していると言えるでしょう。


インド株へのおすすめ投資方法3選!リスクが低いのはどれ?

インド株に投資する主な方法は以下のとおりです。

  • 米国市場を通してインド株を買う方法(ADR)
  • インド株に投資している投資信託を買う方法
  • インド株指数に連動する国内ETFを買う方法

それぞれ詳しく解説します。

米国市場を通してインド株を買う方法(ADR)

ADRとは、米国預託証券と呼ばれているものです。インドでは規制により、インド株式市場に上場している企業の株式を外国人が直接買えないことになっていますが、このADRを活用することで、インドの個別株に投資できる仕組みです。

ただし、米国市場に上場しているインド株のADRは以下の11種類のみとなっており、数は多くはありません。

  • ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ(RDY)
  • ICICI銀行(IBN)
  • インフォシス(INFY)
  • WNS(ホールディングス)(WNS)
  • シファイ・テクノロジーズ(SIFY)
  • ウィプロ(WIT)
  • メイクマイトリップ(MMYT)
  • ライタス・テクノロジーズ・ホールディングス(LYT)
  • アジュア・パワー・グローバル(AZRE)
  • ヤトラ・オンライン(YTRA)
  • HDFC銀行(HDB)

証券会社によってADR取り扱い銘柄が違うため、投資したいADRを取り扱っているところを利用しましょう。

このような個別銘柄への投資は、分散投資に比べると高い利益が期待できる反面、リスクも大きくなります。

投資する際は、それぞれの企業の情報や将来性をしっかりと調べるようにしましょう。

インド株に投資している投資信託を買う方法

インド株投資で最もリスクが低くおすすめ方法としては、インド株の個別銘柄に投資している「アクティブファンド」や、インドを代表する株価指数などに連動する「インデックスファンド」があります。

投資信託に投資する際は新NISAを活用できるため、非課税のメリットを受けつつ長期投資で資産を増やしていくことが可能です。

インド株のインデックスファンドのベンチマークとされる株価指数には、以下の3種類があります。

株価指数の種類

構成銘柄数

基準となる通貨

Nifty50

50銘柄

インドルピー建て

BSE SENSEX

30銘柄

インドルピー建て

MSCI India

151銘柄

米ドル建て


2024年度の実績は以下のようになっており、どの指数でも大きな上昇率となっています。

株価指数の種類

2024年度の上昇率

Nifty50

約8.8%

BSE SENSEX

約8.17%

MSCI India Index

約15.65%(INR建て)・約12.41%(米ドル建て)


MSCI India Indexのパフォーマンスが特に優れている理由は、MSCI India Indexが海外投資家向けの指数として使われるため、海外資金が流入しやすい面があるからです。

また、MSCI India Indexは大型株だけではなく中型株も対象にしています。

一般的に、中型株の成長率は大型株に比べて高いという特徴がありますが、2024年は特に中型株が堅調だったため、MSCI India Indexのリターンが高くなっています。

加えて、MSCI India Indexは成長が著しいヘルスケアやインフラ、素材関連の企業比率が高いため、相対的にリターンが高くなっていると考えられます。

このように、投資信託であれば多くの銘柄に分散投資しているため、投資のリスクを減らしつつ利益を期待できます。

また、投資信託は一度にまとめて投資するだけでなく、「毎月1万円ずつ投資する」というような積立投資もできるため、自分の投資方針や資金の状況に合わせて、柔軟に投資の仕方を変えられることも魅力です。

投資信託については、以下の記事も参考にしてください。

株式投資と投資信託の違いを徹底比較!初心者はどちらを選ぶべき?

インド株指数に連動する国内ETFを買う方法

インド株指数に連動する国内ETFに投資するという方法もあります。

ETFとは、投資信託と同様に、多くの投資家から集めた資金をまとめ、専門の運用会社が株式や債券などに分散投資する金融商品のことをいいます。

ただし、投資信託とETFでは、以下のような違いがあるため、自分に合った方法で投資することが大切です。

 

投資信託

ETF

売買方法

1日1回決まる基準価額で約定する

株式と同様に市場でリアルタイム売買ができる

手数料

最近は0円(ノーロード)が主流

売買手数料がかかる場合がある

最低投資金額

数百円~(積立OK)

1口単位

積立

毎日/毎月など積立投資がしやすい

一部で可能だが、選択肢は少ない

流動性

解約すればOK

売買高に依存する


投資信託は、1日1回定められる「基準価額」を元に売買します。日中の値動きにこだわらず、コツコツ投資したい人に適しています。

一方で、ETFは株式と同じように現在の価格(気配)を見ながら指値で売買したい人に適しています。

インド株に投資している主な国内ETFは以下のとおりです。

  • NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信
  • iシェアーズNifty50 インド株 ETF
  • iFreeETF インドNifty50

どのETFもインドのNifty50指数に連動していますが、コストに違いがあるため、最も条件が良いものを選ぶようにしましょう。


【2025年最新】初心者におすすめのインド株銘柄

インド株のADRは11種類あります。どれも成長性が高い企業ですが、その中からおすすめ銘柄を4つ紹介します。

1.ICICI銀行

ICICI銀行は、インド最大級の民間銀行です。個人・法人向け銀行業務や保険、資産運用などを行っており、デジタルバンキングにも積極的です。

インド経済の成長を享受できること、財務健全性が高く不良債権率が低水準であることも魅力となっています。

2.HDFC銀行

HDFC銀行も、インド最大級の民間銀行です。

特に個人向け事業に強く、個人向け銀行業務やローン、クレジットカード、オンライン決済などを展開しています。都市部や中間層をターゲットとしたビジネスモデルのため、今後の成長が期待できます。

3.ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ株式会社

ドクター・レディーズ・ラボラトリーズはグローバルな製薬企業で、主にジェネリック医薬品や原薬、バイオシミラー(生物由来の医薬品の模倣品)、OTC医薬品の販売を行っています。世界80カ国以上で事業を展開しており、特に米国市場で強いプレゼンスを持っています。

インド国内ではジェネリック医薬品のリーダー企業として貢献しています。

4.インフォシス

インフォシスは、59カ国以上で事業展開するグローバルなITサービスおよびコンサルティング企業です。世界中で企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しており、安定した業績と高い配当利回りを実現しています。


インド株に投資する際の注意点

インド株は大きな成長が見込めますが、注意点をよく理解しておくことが大切です。ここではインド株投資で注意すべきポイントを5つ解説します。

為替の影響に備える

インド株はインドルピー建てで運用されており、為替変動がリターンに大きく影響します。

例えば、インド株価が上昇しても、インドルピーが円やドルに対して下落すれば、最終的な収益は目減りしてしまいます。

逆に、インドルピーが円やドルに対して上昇すれば、インド株の利益に加えて為替差益も得られます。

近年の米株投資では、「米国株価の上昇」と「円安」によって、2つの利益を同時に得られたため、パフォーマンスが非常に良かったという状況があります。

インド株投資でも同じことが言え、円安・インドルピー高になると、インド株投資の利益がより大きくなります。

ただし、為替の動きを正確に予測することは困難です。

インド株投資信託の積立投資をする場合は、投資するタイミングが分散されるため、為替変動は気にせず継続して積み立てていきましょう。

一度に大きな額を投資する場合で為替リスクを抑えたい場合は、為替ヘッジ付きの投資信託を検討しましょう。

政治や規制のリスクや変化に注意する

インドは世界最大級の民主主義国家であり、潜在的な経済成長力がある一方で、政治に左右されやすい国でもあります。

現在はモディ大統領の長期政権のため、政策も安定しており「外資からの投資を促し、インドの経済成長につなげる」という方針が一貫しています。

しかし、今後政権が変わった際は、投資規制や関税の引き上げ、突然の法人税増税などが行われる可能性はゼロではありません。

このように政策が大きく変更された場合は、企業利益に大きな悪影響を与え、その結果株価が下落する可能性があります。

インドの連邦議会下院の選挙は5年に1度行われます。直近では2014年の6月に行われ、モディ政権が3期目に入っています。

モディ首相は2025年時点で75歳となりますが、高齢を理由に引退することはなく、2029年まで任期を全うする予定です。

2029年の選挙は大きな節目になる可能性があります。有力な首相候補が「モディ政権の路線を踏襲するか」を注視し、混乱するようであればいったん利確して様子を見るなど柔軟に対応するようにしましょう。

情報の入手が難しい場合がある

インド株に投資する際の課題のひとつとして「情報が入手しにくい」という点があります。

インド企業の企業情報や決算資料は入手しづらく、開示内容も不十分な場合が少なくありません。また、現地の言葉で発表された資料が英語などに翻訳される場合、情報のタイムラグが発生してしまうこともデメリットの一つです。

このような状況を考えると、自分で情報を入手して投資判断するのは簡単ではないと言えます。

そのため、インド株に積極的に投資したい場合は、投資信託のアクティブファンドを選ぶのもひとつの方法です。

投資信託のアクティブファンドでは、ファンドマネージャーが直接企業に足を運び、経営者から直接話を聞いて企業の将来性や利益見込みなどをリサーチし、投資するかどうかを判断します。

一般の人が得られる情報をはるかに超えた、精度が高い情報をもとに投資判断を下しているため、信頼性が高いと言えます。

以下は日本で時価総額が高いアクティブファンドと、組み入れられている上位銘柄の一覧です。

 

投資信託名

時価総額

上位5社

iTrust インド株式 

約1,041億円

①     ICICI銀行

②     HDFC銀行

③     エターナル

④     インフォシス

⑤     アクシス銀行

AM-One Oneピュア・インド株式ファンド 

約2,256億円

①     HDFC銀行

②     ICICI銀行

③     リアランス・インダストリー

④     インド国営銀行

⑤     IDFCファースト銀行

三井住友DS 高成長インド・中型株式ファンド

約1,911億円

①     マックス・ヘルスケア・インスティチュート

②     エターナル

③     シュリラム・ファイナンス

④     アポロ・ホスピタルズ・エンタープライズ

⑤     フォーティス・ヘルスケア

(2025年8月22日時点)

このように、アクティブファンドごとに組み入れ銘柄に個性があります。

運用レポートを読んで投資方針や投資内容をよく理解し、自分の考えに合ったアクティブファンドを選ぶようにしましょう。

短期ではなく長期投資を意識する

インド株は新興国市場らしく短期的な値動きが大きいことが特徴です。そのため、短期投資では目先の値動きに振り回されてしまうこともあり、難易度が高いと言えます。

また、インド市場が堅調であっても、世界的な金融不安や原油価格の高騰、地政学リスクなどの外部要因によってインド株式市場が急落することもあります。

インド株は長期的に大きな成長が見込める市場のため、10年、20年というような長い目で見た投資を行うと良いでしょう。

証券口座の対応状況を確認する

インド株投資をする際は、まずは証券会社の対応状況を確認しましょう。

日本では、米国株や中国株に比べてインド株の取り扱いが限定的なため、証券会社によって購入できる株式(ADR)や取り扱っている投資信託に違いがあります。

近年はネット証券を中心にインド株関連の投資信託が充実しているため、取り扱っている商品をよく調べて証券会社を決めるようにしましょう。


インド株投資はどんな人におすすめ?

インド株投資はどのような人におすすめなのでしょうか。ここでは、インド株投資が向いている人の特徴を解説します。

中長期的な資産形成をしたい人

インド株は、短期的な価格変動(ボラティリティ)はあるものの、長期で保有することで複利効果や成長市場の恩恵を受けやすいという特徴があります。

特にインドは人口構成が若く、消費や投資の拡大が長く続くと考えられているため、将来大きなリターンが期待できる市場です。

老後資金や将来の資産形成などの長い目で見る運用であれば、短期のボラティリティや為替の変動の影響を受けにくいというメリットもあります。

このような理由から、インド株投資は中長期的な運用を考えている人に向いていると言えます。

リスクは高くても高リターンを狙いたい人

インド株はボラティリティが高い新興国株のため、短期的には大きな値動きをすることがあります。

しかし、その分高いリターンを狙える可能性も高いため、リスクが高くても高リターンを狙いたい人に向いていると言えます。

新興国市場に分散投資したい人

インドは、新興国の中で代表的な国であり、インド株式市場は大きなリターンが期待できる市場です。

米国や日本に投資しているけれど、新興国を追加して分散投資したいという人は、インド株投資に向いています。

新興国の代表格であるインド株をポートフォリオに組み込むことで、高いリターンを期待しつつ分散投資によるリスク低減効果が期待できます。


インド株投資でよくある質問

インド株投資でよくある質問をまとめましたので紹介します。

インド株の主な投資方法を教えてください

インド株投資で最も一般的な方法は、インド株投資信託を利用する方法です。リスクを低く抑えたい人はインデックスファンド、高いリターンを期待したい人はアクティブファンドを選択しましょう。また、インド株ETFを購入し、株のように売買するという方法もあります。

米国市場を通して直接インド株を買う方法もありますが、上級者向けと言えます。

初心者はまず投資信託やETFを活用し、慣れてきたら直接株式に投資する方法も検討しましょう。

インド株に投資するタイミングはいつが良いですか?

インド株に長期投資する場合、短期的なボラティリティのリスクを抑えるためにも「毎月継続して積立投資を続ける」という方法が適しています。

タイミングを狙って一度に大きな資金で投資するよりも、ドルコスト平均法を活用して、定期的に積立投資するほうがリスク分散につながります。

日ごろは積立投資を行い、「株価が大きく下落したり、為替が円高に動いたりしたタイミングで一時的に投資額を増やす」という方法もおすすめです。


まとめ

インド株は、人口増加や都市化、IT産業や消費拡大などさまざまな成長要因があり、今後も世界的に注目されていく投資先と言えます。

そのため、インド株投資は中長期的に資産形成をしたい人や、リスクをとって高いリターンを狙いたい人、新興国市場に分散投資したい人におすすめです。

インド株投資では、短期的な値動きに左右されず、長期的な投資を行うことが成功のカギです。

将来大きなリターンを得られることが期待できるため、ぜひ長期運用の投資先としてインド株投資を検討してみてください。


伊藤久実 

伊藤FP事務所代表。ファイナンシャルプランナー(AFP)兼ライター。
大学卒業後、証券会社・保険コンサルタントを経て事務所代表兼フリーライターとして活動を始める。家計の見直しから税金・保険・資産運用まで、人生の役に立つ記事を幅広く執筆している。