「オルカン」VS「S&P500」徹底比較!
新NISAで選ぶべきはどっち?

新NISAで投資を始めようと思ったときに、全世界株式「オルカン」や「S&P500」でどっちを選ぶべきか迷う人も多いのではないでしょうか。

「オルカン」と「S&P500」はメディアでも取り上げられる人気のインデックスファンドですが、それぞれの特徴や違いを理解し、自分の考えに合ったものを選ぶことが大切です。

この記事では、「オルカン」や「S&P500」の特徴や違い、どっちを選ぶべきかまで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

・目次


オルカンやS&P500への投資で活用すべき新NISA制度とは?

新NISAとは、資産運用の際に得られる税制上の優遇制度です。通常の投資で利益を得られた場合、利益に対して20.315%の税金が発生します。しかし新NISA口座で得られた利益は非課税となるため、節税効果が高いことが特徴です。

この新NISAを活用して全世界株式「オルカン」や「S&P500」に投資を行うことで、節税しながらより効率的な資産形成が可能になります。

新NISAには、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」という2つの枠があります。

●成長投資枠
株式や投資信託に、一括で投資する場合に使用する投資枠です。総額1,200万円まで、年間だと240万円まで投資できます。

●つみたて投資枠
毎月決まった金額を積み立てたい場合に使用する投資枠です。年間120万円まで利用できます。

新NISA口座の非課税投資枠は、成長投資枠とつみたて投資枠を合わせて1,800万円までです。

新NISAについてもっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

NISAとつみたてNISAの違いは何?初心者はどちらを選ぶべきか徹底解説

新NISAで購入できるファンドは?

新NISA口座で購入できる金融商品には、制限があります。

特につみたて投資枠は、長期にわたって安定した投資運用をサポートするためのものなので、金融庁が長期・積立・分散に適していると認めた投資信託(ファンド)のみ購入可能です。

成長投資枠では、投資信託(ファンド)だけでなく上場株式も購入できますが、すべての株式を購入できるわけではありません。

●成長投資枠で購入できる金融商品
上場株式、投資信託(ファンド)など

●つみたて投資枠で購入できる金融商品
金融庁が長期の積み立てに適していると判断した投資信託(ファンド)

今回ご紹介する「オルカン」や「S&P500」は、どちらも投資信託(ファンド)の一種です。成長投資枠、つみたて投資枠のどちらでも購入できます。

つまりどちらのファンドも、金融庁が長期積み立てに適していると判断しているということになります。


全世界株式「オルカン」と「S&P500」はどちらもインデックスファンド

全世界株式「オルカン」と「S&P500」は、どちらも特定の株式指数に連動するように設計された「インデックスファンド」です。

投資の世界では、「日経平均株価」や「S&P500」、「TOPIX」「全世界株価指数(MSCI ACWI)」など数多くの株式指数が存在します。

このような株式指数と同じ動きをするように設計された投資信託を「インデックスファンド」といいます。

インデックスファンドについては、以下の記事も参考にしてください。

インデックスファンドVSアクティブファンド!どっちを選ぶ?違いを徹底比較

全世界株式「オルカン」は「全世界株価指数(MSCI ACWI)」に連動するように設計されており、専門知識がなくても世界経済の成長の恩恵を受けられるという特徴があります。

一方、「S&P500」は米国の代表的な500社の株価を基に算出される株式指数「S&P500」に連動しています。

世界経済をけん引する米国市場に集中投資する指数のため、大きなリターンを期待できるという特徴があります。


「オルカン」「全世界株式」とは?

「オルカン」や「オールカントリー」、「全世界株式」いう名称をよく耳にすることがあると思いますが、それぞれ同じ投資信託(ファンド)を表しています。ここでは特徴を詳しく解説します。

オルカンとは全世界株式インデックスファンドのこと

オルカンとは「オールカントリー」の略称で、全世界株式インデックスファンドのひとつです。

正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」といいます。

全世界株式(オルカン)は、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」という全世界株式指数に連動するように構成されており、世界中の株式に投資ができるファンドとなっています。

また、全世界株式(オルカン)は原則として為替ヘッジがないため、為替の影響を受けることも特徴のひとつです。

全世界株式「オルカン」の投資先は全世界

オルカンが連動する株式指数「MSCI ACWI」は、日本を含む先進国23カ国と新興国24カ国の大型株・中型株の上場株式で構成されており、世界の株式市場の時価総額約85%をカバーしています。

つまりオルカンを購入するということは、世界の株式市場全体に投資するということを意味します。

ただし、実際の組入銘柄の国別構成比は以下のようになっており、米国株式が6割以上を占めています。

オルカンは世界の市場に分散投資されているものの、実際は米国株式にかなりの割合で投資していることが特徴です。

ただしオルカンの組入れ銘柄は定期的に見直されるため、今後は日本株や新興国の割合が増えたり、逆に米国株の割合が増えたりする可能性があります。

オルカンに投資する際は、投資信託の運用レポートなどで国別割合を確認することが大切です。

全世界株式「オルカン」は新NISAで人気ファンドのひとつ

オルカンの投資対象は全世界なので、世界の経済が成長し続ければ利益を上げられるとして、新NISAでとても人気があります。

世界経済は好調ですが、短期的な下落もたびたび起こります。たとえば、リーマンショックや新型コロナウイルスが流行時などです。

しかし長期的な視野でみれば世界経済は成長し続けているため、今後の成長も期待できます。

また、オルカンでは米国企業をはじめとしたグローバル企業に投資をしつつ、今後の成長性が高い新興国市場に分散投資できることも大きな魅力といえます。

オルカンについては、以下の記事も参考にしてください。

オルカンとは?人気の理由や将来性、リスク回避の方法まで徹底解説!


米国株式「S&P500」とは

オルカンと同様によく耳にするのが、「S&P500」もしくは「米国株式」でしょう。こちらも詳細をご紹介していきます。

S&P500とは米国株式インデックスファンドのこと

「S&P500」とは、米国の金融会社「S&P(スタンダード&プアーズ)」が作成している指数のことをいいます。

この指数は米国の代表的な企業で構成されており、米国の経済状況を図る指標としてとても定評があります。

通称「S&P500」という名で呼ばれているのは、このS&P500に連動するように作られたインデックスファンドのことをいい、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」というファンドを指すことが多くなっています。

S&P500は米国の主要企業500社に投資

「S&P500」は米国のニューヨーク証券取引所やナスダック(NASDAQ)に上場している、米国で代表的な企業500社で構成されています。

S&P500は、「時価総額加重平均方式」という方法で算出されており、株価や時価総額が大きい企業の影響を受けやすいことが特徴です。

つまり、S&P500はアップルやエヌビディア、マイクロソフトなど、時価総額が高い株価の動きに影響されやすいということになります。

近年の米国株はITや半導体企業が株価を大きく上げており、S&P500もそれに連動して大きく上昇しているため、「S&P500」は「IT中心の指数」と誤解されがちです。

しかし、組入上位10業種は以下のようになっており、実際は「アメリカ経済全体をバランスよく含む指数」と言えます。

引用:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 月報(2025年10月31日時点)

※月報の情報を基にマネのび作成

S&P500の組入上位10銘柄

S&P500の組入上位10銘柄は以下のようになっており、誰もが知っているような知名度が高い企業となっています。

順位

銘柄

業種/種別

組入比率(%)

1

APPLE INC(アップル)

テクノロジー・ハードウェアおよび機器

7.3

2

NVIDIA CORP(エヌビディア)

半導体・半導体製造装置

6.2

3

MICROSOFT CORP(マイクロソフト)

ソフトウェア・サービス

5.9

4

AMAZON.COM INC(アマゾン)

一般消費財・サービス流通・小売り

3.9

5

META PLATFORMS INC-CLASS A(メタ クラスA)

メディア・娯楽

2.8

6

ALPHABET INC-CL A(アルファベット クラスA)

メディア・娯楽

2.0

7

BROADCOM INC(ブロードコム)

半導体・半導体製造装置

1.9

8

TESLA INC(テスラ)

自動車・自動車部品

1.8

9

BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B(バークシャー・ハサウェイ クラスB)

金融サービス

1.8

10

ALPHABET INC-CL C(アルファベット クラスC)

メディア・娯楽

1.7


引用:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」交付運用報告書(2025年4月25日)

S&P500の組み入れ銘柄は年4回見直され(リバランス)、新しい成長企業が採用されたり、業績不振の企業が除外されたりします。

例えば、1990年のS&P500の上位5社は以下のようになっており、現在とは全く異なることがわかります。

  1. IBM
  2. エクソン
  3. GE
  4. アルトリア・グループ
  5. ロイヤルダッチシェル

このように、S&P500は定期的に組入銘柄の見直しを行うことにより、その時代のアメリカ代表企業をしっかりと反映する仕組みになっています。

S&P500の運用実績は好調

S&P500は好調な米国株式市場を反映しているためパフォーマンスが良く、一時的な下落はあるものの、ここ数十年右肩上がりの成長を続けています。

今後もこのまま米国経済が成長し続ける保証はありませんが、2026年は年4回の利下げが想定されており、米国株式市場には追い風となることが予想されています。

また、巨大テック企業の業績が好調なこと、AIを中心とした技術革新が活発に行われていることから、長期的にはS&P500の運用成績は今後も期待できると言えるでしょう。


全世界株式「オルカン」とS&P500の違いを項目別に比較!

オルカンとS&P500はともに運用成績が好調で人気があるため、どっちを選ぶべきかと悩む人も多いでしょう。

ここでは、オルカンとS&P500の違いを項目別に比較してみました。

項目

全世界株式

(オルカン)

米国株式

(S&P500)

特徴

世界経済に連動した値動きをする

米国経済に連動した値動きをする

主な投資先

全世界

・先進国23カ国

・新興国24カ国

・世界の株式市場の時価総額約85%をカバー

米国主要企業500社

・米国の株式市場の時価総額約70~80%をカバー

 

ベンチマーク指数

MSCI ACWI

(MSCI All Country World Index)

S&P500

平均利回り(年率)※

1年:23.02%

3年:24.12%

5年:21.14%

1年:19.24%

3年:25.97%

5年:24.38%

リスク分散性

高い

(世界中に投資)

低い

(米国に集中)

手数料(信託報酬)※

0.05775%

 

0.0814%

 

メリット

・世界中に分散投資できる

・手数料が比較的安い

・世界経済の成長に応じて収益を得られる

・米国の優良企業にまんべんなく投資できる

・高い成長率を期待できる

・値動きを予想しやすい

デメリット

・米国への依存が高め

・為替リスクがある

・米国経済に左右される

・為替リスクがある

 

※2025年11月のデータを基に作成

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 投資信託 | 楽天証券

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 投資信託 | 楽天証券

オルカンとS&P500の比較①特徴

全世界株式「オルカン」は、その名の通り全世界に分散して投資するので、世界経済の影響を受けます。世界経済が成長していけば株価も上昇するため、堅実に利益を期待できるファンドといえるでしょう。

一方、米国株式「S&P500」は、米国の主要企業に投資します。米国にはグローバルで高い成長率を誇っている企業が多く存在しており、S&P500もさらなる成長を期待できます。

オルカンとS&P500の比較②主な投資先

オルカンの投資先は全世界で、先進国だけでなく新興国も含まれることが特徴です。

インドや東南アジアなど、人口の増加を背景に今後成長が期待できる国に分散投資できることが魅力です。

ただし、オルカンは世界の株式市場の時価総額約85%をカバーしているものの、構成比の約6割が米国であるため、世界中の国に均等に投資しているわけではありません。

また、オルカンの構成国や銘柄は一定ではありません。

たとえば2022年にロシアによるウクライナ侵攻があった際には、各国がロシアに対し制裁をかけ投資が制限されたため、構成国から外されています。

このように、オルカンの組入銘柄は情勢に応じて見直しされるため、投資先の国の割合は常に変化する可能性があります。

一方、S&P500の投資先はすべて米国企業の株式です。

S&P500は米国でも有数の企業に投資しており、米国の株式市場における時価総額約70~80%をカバーしています。こちらも組入銘柄は定期的に見直されています。

米国市場に集中して投資したい場合は、S&P500がおすすめです。

オルカンとS&P500の比較③ベンチマーク指数

オルカンのベンチマークは、世界中で広く利用されているMSCI ACWI(MSCI All Country World Index)で、世界の約2,500の銘柄から構成されています。

引用:MSCI ACWI Index ※2025年11月時点

一方、「S&P500」は米国の代表的な500社を基に計算される株式指数です。

ニューヨーク証券取引所やナスダック市場の主な銘柄が網羅されており、ITやヘルスケア、金融、エネルギーなど幅広い業種を取り扱っています。

S&P500の銘柄に採用されるには、主に以下の条件をクリアしなければならないと言われています。

  • 米国企業であること
  • 時価総額が205億ドル以上であること(※1)
  • 四半期連続で黒字であること
  • 流動性が高いこと
  • ニューヨーク証券取引所やナスダックなどに上場していること
  • 浮動株(※2)が株式総数の50%以上であること

※1状況に応じて随時変更されています。
※2浮動株とは、市場で流通しており日々売買できる株式のことです。

S&P500に組み入れられている企業はこのような条件を満たしているため、信頼性が高い指数であると判断できます。

オルカンとS&P500の比較④平均利回り

「全世界株式(オルカン)」と「S&P500」はどちらも収益が好調ですが、比較するとオルカンの平均利回りが高くなっています。特に、直近1年の平均利回りはオルカンが4%近く上回っています。

オルカンには米国株だけでなく、日本をはじめとした先進国や新興国が含まれています。オルカンの運用成績が良いということは、これらの国の運用成績が好調だったと判断できます。

一方、S&P500もオルカンと同様、運用成績は好調です。

直近1年はオルカンよりも低いものの、約20%という非常に高い利回りとなっています。

オルカンとS&P500は、どちらも継続して高い実績を出しているファンドといえるでしょう。

オルカンとS&P500の比較⑤リスク分散性

リスクの分散はオルカンに軍配が上がります。S&P500は米国株式のみに投資しているため、米国経済が下降すると大きなダメージを受けるリスクがあります。

一方、オルカンは米国株式の割合が高いものの様々な国の銘柄も組み入れられているため、仮に米国市場が大きく下落しても、S&P500よりもダメージを少なくできる可能性があります。

実際、現在の米国市場にはすでに多くの投資資金が流入しており、「買われすぎている(=高すぎる)」と警鐘を鳴らしている専門家がいることも事実です。

また、近年の米国株の上昇はテクノロジー関連を中心としたITやAI銘柄によって牽引されている状態のため、米国市場全体が底堅く上がっているわけではないという分析もあります。

このような状況から「アメリカはAIバブルではないか」という声もちらほら聞こえてきており、機関投資家がリスク分散の一環として、資金の一部を新興国などに移す動きも出てきています。

リスク分散をしたい場合は、S&P500よりもオルカンを選ぶことをおすすめします。

オルカンとS&P500の比較⑥手数料(信託報酬)

オルカンもS&P500も購入時の手数料は不要で、信託報酬のみ発生します。信託報酬とは、信託財産を管理、運用するのに毎年かかる必要経費のことをいいます。

インデックスファンドは、積極的に利益を追求していくアクティブファンドよりも信託報酬は低めに設定されています。

中でも、「eMAXIS Slimシリーズ」は、業界最低水準の運用コストを目指しているため、特に信託報酬が低めです。

インデックスファンドの信託報酬は一般的に0.1%程度~といわれていることからも、オルカン・S&P500ともに低水準の信託報酬であることがわかります。

【アクティブファンドとは】
ベンチマークを上回る利益を目指すファンドです。ファンドマネージャーによる積極的な売買や分析などが必要になるため、運用コストが高めになります。

オルカンとS&P500の比較⑦メリット

オルカンのメリットは全世界に分散投資でき、世界全体の経済成長の恩恵を受けられることです。

先進国だけでなく新興国にも投資しているので、新興国が経済成長した際の利益も得られます。

また、分散投資しているため、投資リスクも抑えられることもメリットです。

随時銘柄の見直しを行っているので、世界経済の状況に応じて柔軟に対応できることや、信託報酬が低いという特徴もあります。

一方、S&P500の最大のメリットは、経済大国アメリカに集中投資できることです。米国に数多くあるグローバル企業にまんべんなく投資できるため、高い利回りを期待できます。

また、日本にいても米国の優良企業の情報は手に入りやすいので、今後の値動きを予想しやすいこともメリットといえます。

オルカンとS&P500の比較⑧デメリット

オルカン、S&P500の共通のデメリットとして「為替リスク」があげられます。どちらも外貨で投資するため、為替リスクは避けられません。

また投資の基本は分散投資であることから、米国に一極集中して投資するS&P500はリスクが高いとも考えられます。また、米国経済がこの先もずっと好調であるとは限りません。

オルカンに関しても、全世界に投資しているとは言え米国の比重が非常に高いことから、米国経済の影響を受けることを覚えておきましょう。


全世界株式「オルカン」とS&P500、どっちに投資すべきか

全世界株式「オルカン」とS&P500はどちらも人気が高く、利回りも期待できる商品のため、どっちを選ぶべきか悩むところです。

正解があるわけではありませんが、それぞれにおすすめのタイプをご紹介するので、参考にしてみてください。

全世界株式「オルカン」がおすすめの人

全世界株式(オルカン)がおすすめの人は、以下のとおりです。

  • 分散投資をして投資リスクを低く抑えたい人
  • 米国以外の先進国や新興国の株式も取り入れたい人
  • 20年以上の長期投資を考えている人
  • 1つで完結できる投資をしたい人
  • 暴落時のショックを多少なりとも軽減したい人

オルカンがおすすめなのは、「世界に投資したい人」「米国一極集中」に不安を覚える人です。

過去数十年の米国経済は確かに好調ですが、この先も続く保証はありません。今後はアジア圏の経済成長も予想され、米国経済の勢いが弱まっていく可能性もあります。

できるだけ投資リスクを避けたい人は、分散投資ができてカントリーリスクを比較的抑えられるオルカンがおすすめです。

また、オルカンは投資経験が少なくても運用が簡単で、積み立てるだけの「ほったらかし運用」ができる点も大きな魅力です。

オルカンは定期的に組入銘柄が見直され、世界中の成長銘柄を逃しにくい仕組みになっているため、個別銘柄の選定や国ごとの経済状況の分析が不要です。

手間をかけずに長期にわたって安定した資産形成を目指す人にとって、オルカンは最適な選択肢といえます。

米国株式「S&P500」がおすすめの人

米国株式「S&P500」がおすすめの人は、以下のとおりです。

  • より高い利回りを期待する人
  • 米国のイノベーション(ハイテクやAIなど)を信じる人
  • 一つの国への投資に抵抗がない人
  • 短期の一時的な下落や変動にも耐えられる人
  • 米国企業に親しみがある、応援をしたい人
  • 今後も米国経済は好調だと思う人

米国経済が世界中で最も成長性が高いと考える人は、S&P500がおすすめです。

また、一つの国への集中投資に抵抗がない人、米国のイノベーションを信じる人にもS&P500は向いています。

一方、S&P500は長期的には右肩上がりを続けてきた市場ですが、米国市場のみに投資していることから、短期的に大きな下落がある場合もあります。

大きなリターンを狙うために短期の下落や変動を許容できる人も、S&P500に向いているといえるでしょう。


全世界株式「オルカン」とS&P500両方買うべき?リスクを分散する方法

オルカン・S&P500ともに優良な商品なら、両方買えばいいのでは?と思う人もいるでしょう。

どちらも購入するのが悪いわけではありませんが、リスクの分散という点から考えるとあまりおすすめできません。

なぜなら、オルカンも米国株を60%以上組み入れていることから、値動きがS&P500と似ているからです。新興国や欧州市場の影響も受けるため、完全に同じではありませんが、似た動きにはなります。

例えば、オルカンとS&P500をそれぞれ1万円ずつ毎月積み立てた場合、投資先の割合は以下のようになります。

リスク分散の観点では、オルカンとS&P500の両方に投資した場合は8割以上が米国になるため、リスクを抑える効果は限定的といえます。

リスクを回避するには、違う値動きをする銘柄を組み合わせることが鉄則です。

たとえば、一般的に株式と反対の値動きをすると言われている債券を組み合わせるといった方法が考えられます。

そのほか、日本の株式や欧州株式などを積極的に組み入れている投資信託を選ぶという方法もあります。

リスクを回避するなら、どの銘柄をどれくらいの割合で組み入れているかを考慮し、なるべく同じ銘柄が被らないようファンドを選ぶようにしましょう。


オルカンとS&P500以外の選択肢はある?組み合わせたいファンド3選

全世界株式「オルカン」やS&P500と一緒に組み合わせて投資する場合、どのような選択肢が考えられるでしょうか。

ここでは、オルカンやS&P500と組み合わせることで分散投資ができるファンドや、より高いリターンが期待できるファンドを3つ紹介します。

日本株の投資割合を増やすなら「eMAXIS Slim日経225」

2025年、日経平均株価(日経225)は年初から年末にかけて約27%上昇し、多くの投資家が「日本株ブーム」と感じるような年となりました。

世界の市場に分散投資しつつ日本株の比率を増やしたいという人は、「オルカン」と「日経225に連動するインデックスファンド」の組み合わせがおすすめです。

日経225への連動を目指すインデックスファンドは多くあります。

その中の一つである「eMAXIS Slim日経225」の特徴は、以下のとおりです。

項目

内容

ベンチマーク指数

日経平均株価(日経225)

リターン(年率)

1年:34.6%

3年:19.79%

5年:12.94%

信託報酬

年0.143%

純資産額

2478.62億円(2025年12月2日時点)


「オルカン」と「eMAXIS Slim 日経225」に1:1で投資した場合、投資先の割合は以下のようになります。

※資料を基にマネのびが作成

日本と米国という主要な2つの国にしっかり投資しつつ、世界にも分散投資したい場合はこのような組み合わせがおすすめです。

新興国の割合を増やすなら「インデックスファンド 海外新興国(エマージング)株式」

世界に分散投資しつつ、新興国の割合をより増やしたいという人は、「新興国を対象とした指数に連動するインデックスファンド」を組み合わせると良いでしょう。

主に新興国に投資する「インデックスファンド 海外新興国(エマージング)株式」は、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス(通称MSCIエマージング)という指数に連動するように設計された投資信託です。

「インデックスファンド 海外新興国(エマージング)株式」の特徴は以下のとおりです。

項目

内容

ベンチマーク指数

MSCIエマージング・マーケット・インデックス

リターン(年率)

1年:34.6%

3年:19.87%

5年:13.12%

信託報酬

年0.275%

為替ヘッジ

なし

純資産額

903.27億円(2025年12月2日時点)

※資料を基にマネのびが作成

国別組入上位10カ国は以下のようになっており、さまざまな国に分散投資されていることがわかります。

この「インデックスファンド 海外新興国(エマージング)株式」と「全世界株式(オルカン)」を1:1で組み合わせた場合、以下のように投資先がより分散されるため、投資リスクを抑えることにつながります。

※資料を基にマネのびが作成

世界のさまざまな国に分散投資したい人は、オルカンと新興国に投資するファンドを組み合わせると良いでしょう。

ただし、新興国に投資するファンドは複数あり、それぞれ投資先の比率が異なります。

新興国のファンドを組み入れる際は、運用レポートなどで投資先を確認し、自分の考えに合ったものを選ぶようにしましょう。

米国により集中投資するなら「FANG+インデックス」

「S&P500」は米国に集中投資できるインデックスファンドですが、代表的なハイテク株や成長企業の割合をより増やしたいという場合は「FANG+(ファングプラス)」という指数に連動するインデックスファンドを組み合わせましょう。

代表的なインデックスファンドとして「iFree FANG+ インデックス」があり、特徴は以下のとおりです。

項目

内容

ベンチマーク指数

MSCIエマージング・マーケット・インデックス

リターン(年率)

1年:37.48%

3年:281.57%

5年:313.26%

信託報酬

年0.7755%

為替ヘッジ

なし

純資産総額

9963.57億円(2025年12月2日時点)

引用:iFreeNEXT FANG+インデックス | 投資信託 | 楽天証券

「FANG+」とは、米国の代表的な成長企業10銘柄で構成される株価指数です。

「FANG+」は、時価総額が大きな銘柄に投資が偏っておらず、10銘柄それぞれにほぼ同等の比率で投資しているという特徴があります。

FANG+の構成銘柄や比率は四半期ごとに見直され、時代の変化や企業の状況変化に応じて柔軟に組み替えられます。

「FANG+」の構成銘柄は、以下のとおりです。

構成銘柄

組入比率

1年騰落率

クラウドストライク

11.1%

82.9%

エヌビディア

11.0%

52.6%

アップル

10.5%

20.2%

グーグル(アルファベット)

10.4%

65.1%

ブロードコム

10.0%

119.9%

マイクロソフト

9.5%

28.4%

サービスナウ

9.1%

-1.5%

アマゾン・ドット・コム

8.9%

31.0%

ネットフリックス

8.2%

48.0%

メタ・プラットフォームズ

7.9%

14.6%

引用:「iFree FANG+ インデックスファンド」月次レポート(2025年11月13日)

「S&P500」と「FANG+」に1:1で投資した場合、投資先の銘柄比率は以下のようになり、より大きなリターンを狙えるポートフォリオとなります。

AIやITといった成長分野により多く投資したい場合は、「S&P500」と「FANG+」の組み合わせをぜひ検討してみてください。


まとめ

新NISAを始めるにあたり、全世界株式(オルカン)と米国株式(S&P500)はどちらも優良なファンドであることは間違いありませんが、特徴には違いがあります。

オルカンは全世界の優良株式に投資するため、分散投資が可能です。S&P500は米国の優良企業全体に投資できるため、高いパフォーマンスを期待できます。

また、自分の考えに合うポートフォリオを作るために、他の種類のファンドを組み合わせるという方法もあります。

オルカンとS&P500のどちらを選べば正解ということはないので、本記事を参考にあなたの考えに合うファンドをぜひ探してみてください。


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