副業の税金はいくら?納税額の目安や対策、確定申告の方法まで完全解説
近年、副業を解禁する企業が増えてきたこともあり、副業を行っている人や興味を持っている人も増えているのではないでしょうか。しかし、「収入がある」ということは税金が発生する可能性があることを忘れてはいけません。そこでこの記事では、副業で発生する税金はいくらなのか、目安や節税対策、確定申告の方法まで詳しくご紹介していきます。
・目次
副業をすると税金はどうなる?知っておきたい基本知識
副業を行った場合、得られる収入によって税金が発生します。会社員で得られる給料とは違い、自分で税金の金額を算出したり納税したりする必要があるため、税金の知識は必ず身に付けておきましょう。
収入と所得の違い
税金は、「収入」ではなく「所得」に対して課せられます。収入と所得を混同している人もいるかもしれませんが、両者の意味は大きく異なります。
- 収入:労働や副業で得た売上そのもの。
- 所得:収入から経費を除いたもの。
たとえば、副業で10万円の売上があったとします。その仕事をするための必要経費が1万円だった場合、収入は「10万円」で所得は「9万円」です。税金はこの「9万円」に対して課せられることになります。
「20万円までは税金がかからない」は本当?
副業は「20万円までなら税金がかからない」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。これは半分本当ですが、正確な情報とは言えません。
正確に言うと、副業で得た所得が年間20万円までであれば「所得税は」発生せず確定申告も不要です。しかし、たとえ20万円以下でも住民税は発生します。副業による所得があり、かつ確定申告をしない場合は、住民税を納めるため居住区の自治体に申告しなければなりません。
所得税と住民税は別の税金なので、混同しないようにしましょう。
副業の実態
副業を認める企業の割合は増え続けています。2025年のパーソル総合研究所の調査によれば、64.3%の企業が副業を認めているようです。同調査によると、副業実施率は約11%で、特に20代の男性において副業を行っている割合が高いという結果が出ています。
会社員に人気の副業一覧
実際にどのような副業を行っている人が多いのか、転職・求人サービス「doda(デューダ)」の調査(2023年実施)を参考にご紹介していきます。
接客や販売のほか、株やFXを副業として行っている人も多いようです。
副業の平均収入
dodaの調査によると、副業で得る月収の平均は、全体で6万5千円ほどです。ただし、最も割合が多い月収は1万円未満だということもわかっています。
参考:副業の実態調査|doda
副業の実態調査|dodaを参考にマネのび作成
仮に月収が1万円であれば、年間で20万円未満なので所得税は発生しません。しかし、少し収入が上がれば年間20万円を超えることもあるでしょう。気付かぬうちに税金を滞納することがないよう、注意してください。
所得の種類とは
所得はその内容により、いくつかの区分に分かれます。所得区分によって、申告方法や受けられる控除などが異なり、同じ収入額でも支払う税金が変わってくることもあるため、所得区分を把握しておくことは重要です。
所得区分は全部で10種類ありますが、副業の所得の場合は主に「雑所得」「事業所得」「給与所得」「不動産所得」のどれかに該当するでしょう。
不動産所得とは、所有している不動産(自宅など)を貸し出して賃料を得た場合に該当します。不動産所得の場合、年間所得が20万円を超える可能性が高いため、確定申告の準備をしておきましょう。
※不動産所得でも所得が20万円未満であれば、確定申告は不要です。
雑所得になる副業
雑所得とは、ほかのどの所得にも分類されない所得のことで、原則として継続性がない一時的な収入が該当します。副業による収入は、継続性があっても事業規模と認められない場合は雑所得に分類されることが多いです。
たとえばフリマアプリでの単発収入やアフィリエイト収入など、継続性が弱く、事業規模に達しない収入は雑所得として扱われる傾向にあります。
<雑所得になる副業収入の例>
- 単発的な原稿料、講演料、コンサルティングなどの収入
- 物販
- アフィリエイト など
「一時的な収入」「趣味の延長である」「片手間に行っている」という特徴が強い場合、雑所得になる可能性が高いです。
雑所得の場合、確定申告における青色申告は利用できません。白色申告のみです。経費の計上は可能ですが、赤字が出てもほかの所得(本業の給与所得や事業所得など)と損益通算はできません。
事業所得になる副業
事業所得となるのは、「継続性」「反復性」「独立性」といった「事業」と呼べる要素がある収入です。「300万円以上であれば事業所得」と思われている人もいるかもしれませんが、正確には「300万円」は区分の判断基準ではありません。目安として利用されている側面はありますが、それよりも事業の実態が重要です。
<事業所得となる判断基準>
明確な基準はありませんが、以下の要素を満たしている場合、事業所得として認められる可能性が高くなります。
- 反復継続性:継続した取引があるか
- 独立性:自己の判断で受注や価格の設定を行っているか
- 営利性・有償性:趣味の延長ではなく、利益を追求しているか
- 記帳・管理:帳簿や入金、経費などを管理しているか
- 営業実態:継続契約の有無、取引実績など
たとえば「原稿料」という収入があった場合、単発の記事であれば「雑所得」となり、Webライターとして請負契約を結び、継続して原稿を執筆している場合は「事業所得」として認められる可能性が高くなります。「継続して利益を得られるか」がポイントと言えるでしょう。
事業所得の場合は青色申告が可能なので、特別控除が最大65万円(令和9年分以降は最大75万円)まで受けられます。そのほか、ほかの所得との損益通算が可能だったり、赤字の損失を繰り越したりできるなど、メリットが大きいです。
副業アルバイトは給与所得
アルバイトやパートなど、雇用契約を結んで働く場合は給与所得となります。副業であっても給与所得となるので注意しましょう。
給与所得の場合は、源泉徴収票が発行されます。そのため、年末調整も自動的に行われると思うかもしれませんが、年末調整ができるのは1つの事業所のみです。つまり、本業の雇用先で年末調整を受けていれば、副業の事業所では年末調整できません。2つ以上の雇用先から源泉徴収票を受け取っている場合は、自分で確定申告しなければならないので注意しましょう。源泉徴収票はなくさないようにしてください。
給与所得の場合も、20万円以上で確定申告の対象です。副業による給与所得の場合は、収入がそのまま所得額になることがほとんどなので注意しましょう。
※給与所得でも会社員の経費に該当する給与所得控除を受けられますが、本業の給与所得からすでに差し引かれているため、副業の収入はそのまま所得となります。
副業で発生する税金の種類と計算方法
副業で発生する税金は主に「所得税」と「住民税」です。そのほか場合によって発生する税金もあるので、計算方法と合わせてご紹介していきます。
所得税の計算方法
所得税は「国税」で、個人の所得に対して発生する税金です。副業で年間20万円以上の所得がある場合、確定申告をして納税しなければなりません。所得税の計算手順は以下の通りです。
1. 副業の所得金額を算出
所得金額=収入(売上等)-経費
収入から経費を引けるのは、「雑所得」「事業所得」「不動産所得」「山林所得」「一時所得」のみです。給与所得から経費を引くことはできないので注意しましょう。本業で得た所得と副業で得た所得を合算して、合計所得金額として算出します。
2. 課税所得を算出
課税所得=所得金額-所得控除
所得控除とは、所得から差し引ける控除のことで、医療費控除や生命保険料控除、給与所得控除などがあります。事業所得や不動産所得で青色申告の場合は、青色申告特別控除も該当します。
3. 基準所得税額を算出
基準所得税額=課税所得×所得税率-税額控除
2で計算した課税所得に応じた所得税率をかけ、そこから税額控除額を引いた額が基準所得税額です。所得税率や控除額は、以下の速算表で確認できます。所得税は、所得が多ければ多いほど税率が上がる累進課税制度です。副業で得た所得が多いと、所得税率が変わることもあるので、注意しましょう。
<所得税の速算表>
課税される所得金額 |
所得税率 |
税額控除額 |
1,000円から1,949,000円まで |
5% |
0円 |
1,950,000円~3,299,000円まで |
10% |
97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円まで |
20% |
427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円で |
23% |
636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円まで |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円まで |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円以上 |
45% |
4,796,000円 |
参照:所得税の税率|国税庁
例)課税所得が200万円の場合
基準所得税額=200万円×10%-97,500円=20万円-97,500円=10万2,500円
4. 所得税の総額を算出
所得税の総額=基準所得税額+復興特別所得税額(基準所得税額×2.1%)
所得税の総額は、基準所得税額に復興特別所得税額を足した額です。復興特別所得税とは、東日本大震災の復興のための財源として徴収される税金で、2037年まで所得税に上乗せされます。
先ほどの例で言うと、復興特別所得税は「10万2,500円×2.1%=2,152円」なので、所得税の総額は「10万2,500円+2,152円=10万4,652円」です。
住民税の算出方法
住民税は、居住する自治体に納める地方税です。都道府県と市町村に納めるものの2種類があり、合算して納税します。所得に応じて納税額が変動し、翌年の6月頃に納税通知書が送付されます。確定申告をしている場合は住民税も自動的に計算され、納付書が送付されますが、所得が20万円以下で確定申告をしていない場合は、居住地の自治体に別途申告しなければなりません。
住民税は、所得金額にかかわらず一定額の「均等割」と所得金額に応じた「所得割」を合算した金額です。
- 住民税=均等割+所得割
均等割: 5,000円前後(自治体によって異なる)
所得割:課税所得×10%(道府県4%+市町村6%。ただし自治体によって異なる)
住民税は、本業の所得と合わせて計算されます。給与所得の場合は「特別徴収」といって、給与から住民税が自動的に差し引かれて納税する方法が一般的です。
副業を行っている場合、本業分と副業分の収入を合算した所得額に対する住民税額となるため、本業の会社に副業収入が露呈する可能性があります。本業の会社にばれたくない場合は、副業分の所得に対する住民税は別途「普通徴収」で納付するよう、手続きしましょう。
- 普通徴収:窓口などで納付する方法
- 特別徴収:給与から住民税を控除してもらう方法
副業分の住民税を別に納付したい場合は、「普通徴収」を選びましょう。ただし、給与所得の場合は、特別徴収しか選べないことも多いです。
場合によって発生する税金|消費税など
適格請求書(インボイス)発行事業者、もしくは年間1,000万円以上の売上がある事業を行っている場合は、副業であっても消費税の支払い義務が発生します。
消費税を支払う義務がある事業とは、以下に当てはまる場合です。
- 日本で取引を行っている
- 非課税取引(住宅の貸付、株式売買など)ではない
- 売上高が1,000万円以上
※消費税の納税義務は、売上高1,000万円を超えた2年後から
またこの条件に当てはまらない場合でも、適格請求書発行事業者であれば消費税を支払わなければなりません。副業のために適格請求書発行事業者になる場合は、消費税の支払い義務があることを覚えておきましょう。
副業で納める税金はいくら?
納める税金の種類や計算方法が分かったところで、気になるのは実際にどれくらいの税額になるのかということではないでしょうか。そこで、納めるべき税金の目安を所得額ごとにご紹介していきます。
20万円未満は住民税のみ
何度かご説明している通り、所得金額が20万円以下であれば所得税は発生せず、住民税のみです。確定申告をする必要はありませんが、居住地の自治体に忘れずに申告しましょう。
<副業で20万円稼いだ場合に増える住民税>
所得割=20万円×10%=2万円 が加算。
※正確には自治体によって異なるため、あくまで目安です。
均等割はすでに本業の所得で課税済みなので、副業収入20万円で増える住民税は2万円ほどだと考えられます。支払う住民税の総額は、本業の所得によって異なります。
所得ごとの税金シミュレーション|月1万・3万・5万・10万
続いて、副業月収ごとの税金額をより詳しくご紹介していきます。税金は本業の所得と合算されるため、本業の所得ごとのシミュレーションです。ただし税金の計算は複雑で、控除の内容など状況によって異なるため、あくまでも目安として参考にしてみてください。
<本業年収300万円の場合>
副業所得 |
所得税(副業なしとの差) |
住民税(副業なしとの差) |
副業なし |
48,242円 |
104,500円 |
月1万円(年間12万円) |
54,368円(+6,126円) |
116,500円(+12,000円) |
月3万円(年間36万円) |
66,620円(+18,378円) |
140,500円(+36,000円) |
月5万円(年間60万円) |
78,872円(+30,630円) |
164,500円(+60,000円) |
月10万円(年間120万円) |
119,457円(+71,215円) |
224,500円(+120,000円) |
※Tech Direct「副業確定申告シミュレーター」を基に算出。
※配偶者、子どもなしで算出。
<本業年収300万円の場合>
副業所得 |
所得税(副業なしとの差) |
住民税(副業なしとの差) |
副業なし |
48,242円 |
104,500円 |
月1万円(年間12万円) |
54,368円(+6,126円) |
116,500円(+12,000円) |
月3万円(年間36万円) |
66,620円(+18,378円) |
140,500円(+36,000円) |
月5万円(年間60万円) |
78,872円(+30,630円) |
164,500円(+60,000円) |
月10万円(年間120万円) |
119,457円(+71,215円) |
224,500円(+120,000円) |
※Tech Direct「副業確定申告シミュレーター」を基に算出。
※配偶者、子どもなしで算出。
<本業年収400万円の場合>
副業所得 |
所得税(副業なしとの差) |
住民税(副業なしとの差) |
副業なし |
76,677円 |
160,200円 |
月1万円(年間12万円) |
82,803円(+6,126円) |
172,200円(+12,000円) |
月3万円(年間36万円) |
95,055円(+18,378円) |
196,200円(+36,000円) |
月5万円(年間60万円) |
115,066円(+38,389円) |
220,200円(+60,000円) |
月10万円(年間120万円) |
176,326円(+99,649円) |
280,200円(+120,000円) |
※Tech Direct「副業確定申告シミュレーター」を基に算出。
※配偶者、子どもなしで算出。
<本業年収400万円の場合>
副業所得 |
所得税(副業なしとの差) |
住民税(副業なしとの差) |
副業なし |
76,677円 |
160,200円 |
月1万円(年間12万円) |
82,803円(+6,126円) |
172,200円(+12,000円) |
月3万円(年間36万円) |
95,055円(+18,378円) |
196,200円(+36,000円) |
月5万円(年間60万円) |
115,066円(+38,389円) |
220,200円(+60,000円) |
月10万円(年間120万円) |
176,326円(+99,649円) |
280,200円(+120,000円) |
※Tech Direct「副業確定申告シミュレーター」を基に算出。
※配偶者、子どもなしで算出。
<本業年収500万円の場合>
副業所得 |
所得税(副業なしとの差) |
住民税(副業なしとの差) |
副業なし |
119,150円 |
224,200円 |
月1万円(年間12万円) |
131,402円(+12,252円) |
236,200円(+12,000円) |
月3万円(年間36万円) |
155,906円(+36,756円) |
260,200円(+36,000円) |
月5万円(年間60万円) |
180,410円(+61,260円) |
284,200円(+60,000円) |
月10万円(年間120万円) |
245,958円(+126,808円) |
344,200円(+120,000円) |
※Tech Direct「副業確定申告シミュレーター」を基に算出。
※配偶者、子どもなしで算出。
<本業年収500万円の場合>
副業所得 |
所得税(副業なしとの差) |
住民税(副業なしとの差) |
副業なし |
119,150円 |
224,200円 |
月1万円(年間12万円) |
131,402円(+12,252円) |
236,200円(+12,000円) |
月3万円(年間36万円) |
155,906円(+36,756円) |
260,200円(+36,000円) |
月5万円(年間60万円) |
180,410円(+61,260円) |
284,200円(+60,000円) |
月10万円(年間120万円) |
245,958円(+126,808円) |
344,200円(+120,000円) |
※Tech Direct「副業確定申告シミュレーター」を基に算出。
※配偶者、子どもなしで算出。
月1万円の場合は年間12万円の所得なので、基本的には住民税のみの納税で問題ありません。しかし確定申告をした場合は、上記のように所得税が上乗せされます。また、副業の所得を上乗せしたことで総所得額が上がり、所得税率が変わる場合もあるので注意しましょう。
ご紹介した数値はあくまでも目安です。状況によって税額は異なるので、必ずご自身でご確認ください。
副業の確定申告のやり方
副業で収入を得ることで、初めて確定申告を行うという人も少なくないでしょう。そもそも、確定申告とは何かわからないという人もいるかもしれません。
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)で得た収入に対して納めるべき税金を計算し、税務署に申告のうえ納税する手続きのことです。給与所得者の場合、本来自分でやるべき手続きを、「年末調整」という形で会社が代行してくれていると考えるとよいでしょう。つまり、確定申告も年末調整もどちらも税金を正しく納めるための手続きと言えます。
年末調整を受けなかった一定額以上の所得は申告しなければならないため、副業を行うと確定申告が必要になるというわけです。
確定申告が必要なケース
確定申告が必要なのは、年間20万円を超える所得があった場合です。収入が20万円を超えても、経費を差し引いた所得額が20万円以下であれば確定申告しなくても問題ありません。
例)
- 収入が21万円で経費が0円(所得が21万円) → 確定申告が必要
- 収入が25万円で経費が10万円(所得が15万円) → 確定申告不要
ただし、「医療費控除」や「寄付金控除」など、確定申告でしか申請できない控除を受けたい場合は確定申告が必要です。また、原稿料やデザイン料など報酬から源泉徴収されている税金がある場合は、確定申告をすることで還付を受けられることもあります。
必要な書類や情報
確定申告をするには、「確定申告書」を作成しなければなりません。確定申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。以下の書類を準備しておくと、スムーズに申告書を作成できるでしょう。
- 本業の源泉徴収票
- 収入に関する資料(支払い調書や請求書、銀行の入出金履歴など)
- 支出に関する資料(領収書やレシートなど)
- 控除証明書(生命保険料控除証明書など、申告していないものがあれば)
- マイナンバーカード
確定申告の流れ
確定申告の流れをもう少し詳しくご紹介していきます。
1. 必要な書類を準備する
必要な書類は先ほどご紹介した通りです。
2. 帳簿を作成する
帳簿とは、収入や支出、経費などをまとめた書類のことです。基本的に申告の種類にかかわらず準備が必要ですが、特に青色申告の場合は複式簿記でまとめなければなりません。青色申告については、のちほど詳しくご紹介します。
3. 確定申告書を作成する
確定申告書は、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。そのほか、確定申告用ソフトなどでも作成が可能です。確定申告書の作成には、本業ですでに年末調整済みの所得情報が必要なので、源泉徴収票を用意しておきましょう。
確定申告書等作成コーナーの案内に従って申告書を作成すると、納税額(還付額)が自動的に算出されます。
4. 確定申告書を提出する
作成した確定申告書を税務署に提出します。提出方法は郵送なども選択できますが、電子申告の「e-Tax」がおすすめです。マイナンバーカードがあれば利用できます。
5. 納税を行う
確定申告の結果、追加で支払う税金が発生した場合は、速やかに納税しましょう。クレジットカードや金融機関、コンビニ支払いなど、さまざまな納付方法があります。還付金がある場合は、振込先の金融機関を申請書に記入すると、自動的に還付されます。
青色申告と白色申告の違い
実は確定申告の方式には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。雑所得の場合は白色申告しか選べませんが、事業所得や不動産所得の場合は青色申告も選べます。
青色申告は事前申請や複式簿記が必要になるなど手間がかかりますが、「青色申告特別控除」を受けられるといったメリットがあるため、節税につながります。
<白色申告と青色申告の違い>
|
白色申告 |
青色申告 |
||
10万円控除 |
55万円控除 |
65万円控除 |
||
事前申請 |
なし |
必要 |
必要 |
必要 |
簿記の種類 |
単式簿記 |
単式簿記 |
複式簿記 |
複式簿記 |
確定申告の際の提出書類 |
収支内訳書 確定申告書 |
青色申告決算書 確定申告書 |
青色申告決算書 確定申告書 |
青色申告決算書 確定申告書 |
電子申告 or 電子帳簿保存 |
不要 |
不要 |
不要 |
必要 |
特別控除額 |
なし |
10万円 |
55万円 |
65万円 |
そのほか青色申告の場合、「赤字を3年間繰り越せる」「専従者への給与を経費にできる」などのメリットがあります。
※専従者:個人事業主の事業に専念して従事する家族や親族のこと。
青色申告をしたい場合は、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。また、基本的に複雑な複式簿記による帳簿が必要です。ただし青色申告の10万円控除であれば単式簿記でも構いません。電子申告をするか否かでも控除額が変わってくるので注意しましょう。
特に複式簿記による帳簿付けは会計の知識がないと難しいため、確定申告用のソフトを使うのがおすすめです。あまり収入が多くない場合は、帳簿付けが簡単な白色申告のほうが楽かもしれません。
経費になるのはどんな支出?
税金の基準は「収入」ではなく「所得」のため、経費を把握しておくことは節税につながります。どのような支出が経費になるのか、しっかり把握しておきましょう。
経費の判断基準とは
経費として認められるのは、「副業収入を得るために必要だった支出」です。プライベートでの支出は当然、経費にはできません。たとえば副業に関する打ち合わせで利用した飲食費は経費となりますが、友人や家族との飲食費は経費にはならないので注意しましょう。
具体的にはどのような支出が経費として認められるのか、目安をご紹介していきます。
経費として認められる支出と認められない支出
収入を得るために必要だった経費とは、たとえばどんなものがあるのか、副業で発生しやすい経費についてまとめてみました。
<経費になる支出一覧>
カテゴリ |
具体例 |
消耗品費 |
文房具、プリンターのインク、キーボード、マウス、USBメモリなど(10万円未満のもの)、材料費、道具費、配達用バッグなど |
通信費 |
インターネット回線、スマホ料金、レンタルサーバー代、ドメイン代など |
新聞図書費・研修費 |
各種書籍、有料ニュースサイト、有料記事、インターネット講座など |
ソフトウェア・サブスク |
Adobe、ChatGPT、AWS利用料など |
減価償却費 |
10万円以上のPCやタブレット、モニターなど |
外注費 |
デザイン外注、記事外注など |
広告宣伝費 |
Google広告、SNS広告、チラシ制作、名刺制作など |
旅費交通費 |
打ち合わせの交通費や、取材先への移動費、配達のためのガソリン代など |
交際費 |
打ち合わせ時の飲食代、取引先への手土産代など |
支払手数料 |
銀行の振り込み手数料、クラウドソーシングのシステム利用料など |
10万円未満であれば、PCやタブレットなどでも消耗品として一括で経費計上できますが、基本的に10万円以上(青色申告の場合は30万円以上)の物品は、減価償却費として耐用年数ごと数年にわたって経費計上されます。
<経費として認められない支出>
- 事業と関係ない飲食(友人や家族との飲食など)
- 自分自身の税金(所得税や住民税など)
- 服飾費(スーツ代など)
- 健康管理費(ジムの会費など)
- 罰則や反則金(交通違反の罰金など)
基本的にプライベートでの支出は経費にはなりません。
家事按分で家賃や光熱費を経費に
プライベートと副業、どちらでも使っているという支出もあるのではないでしょうか。たとえば自宅で副業を行っている場合、家賃や電気代はどちらの用途でも使っていると考えられます。
このように、プライベートと仕事のどちらにも使っている支出は、一部を経費として計上可能です。ポイントは事業に必要な分だけ計上することで、この計算を「家事按分」といいます。
例)家賃の按分
家賃:月額8万円
自宅の総面積:50㎡
副業用の作業スペース:10㎡
按分割合=10㎡÷50㎡=20%
経費計上額=8万円×20%=1.6万円/月 → 1.6万円×12カ月=19.2万円/年
按分割合は決められたものではありませんが、合理的な説明が必要です。一般的には、上記の例のように「面積按分」か、使用する時間の割合で算出する「時間按分」で算出します。電気代やインターネット料金などは時間按分の方が考えやすいでしょう。按分割合が高すぎると否認されることがあるので、注意してください。
副業の節税方法とは
副業で得た収入をできるだけ手元に残すためには、適切な節税対策が重要です。正しい節税方法の知識と申告方法を理解しておきましょう。
経費を漏れなく申告する
最も基本的な節税方法は、正しい経費の申告です。確定申告をするのは年に一度なので、ついまとめて支出の管理をすることもあるかもしれません。しかしそうなると、経費の支出に漏れが出たり領収書を紛失したりして、正しい経費申告をできなくなる恐れがあります。
経費を正しく申告するためには、日ごろからこまめに収入と支出の管理をしておくことが大切です。また、どのような支出が経費になるのかも理解しておきましょう。
家事按分を活用する
経費を正しく申告するうえで、欠かせないのは家事按分の知識です。特に副業を自宅で行う場合は、家事按分を正しく申告することで節税につながります。
■家事按分できるもの
住居費 |
賃貸物件:家賃、管理費、共益費 持ち家:住宅ローンの利息分、固定資産税、火災保険料など |
光熱費 |
電気代、水道代・ガス代(事業で使用している場合)など |
通信費 |
携帯電話料金、インターネット代など |
車両関連費 |
車両の購入費用(要減価償却)、リース代、ガソリン代、駐車場代、高速代、車両保険料、自動車税等、車検費用など |
すべての項目においてですが、家事按分できるのは「業務で使用している場合」のみです。たとえば車を保有していても、業務で使用していなければ家事按分できません。水道代やガス代も同様です。
項目だけを見て経費の家事按分にするのではなく、業務で使用しているかどうかを判断ポイントにしましょう。
■家事按分できないもの
- 住宅ローンの元本
- 自宅で使っている家電
- 旅行代
- 洋服代
- 生活費(食料品代、日用品代など)
家事按分できないものは、たとえばこれらの支出です。住宅ローンの元本は経費とはならないため、家事按分もできません。
そのほか、家電や旅行、洋服、生活費などプライベートでの利用が主な目的である場合も、経費にはならないので注意しましょう。ただし、これらの支出が事業に大きく関わっている場合は、経費にできる場合もあります。判断基準は、その支出が収入を得るために必要であったかという点です。
青色申告を使う
事業所得の場合、青色申告を選べば最大65万円(令和9年分以降は最大75万円)の所得控除を受けられるため、節税が可能です。また青色申告だと、専従者の給与を経費にできたり赤字を翌年に繰り越したりできるといったメリットもあります。
青色申告は事前に申請が必要で、帳簿の作成や管理など手間も大きくなりますが、「最大65万円の控除」は節税の面でとても大きな効果です。
副業の規模が大きくなってきた場合は、青色申告を検討するとよいでしょう。
iDeCoを利用する
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」の略称で、私的年金の一つです。iDeCoは自分で掛金を拠出して金融商品を運用し、その運用金を年金として受け取ります。この「掛金」は全額所得控除になるので、節税につながります。掛金上限は職業や収入によって異なるため、ご自身がどれだけ拠出可能か事前に調べてから始めましょう。
iDeCoは節税しながら老後に備えられる制度なので、まだ活用していない場合は利用を検討してみてはいかがでしょうか。iDeCoについてもっと知りたい場合は、こちらも参考にしてみてください。
ふるさと納税は節税になる?
結論から言うと、ふるさと納税はお得ではありますが節税にはなりません。
ふるさと納税とは「寄付」にあたる制度で、寄付金額に応じて所得控除を受けられます。ただし、控除されるのは拠出した寄付金から自己負担額2,000円を引いた額です。
寄付金が控除されると聞くと節税になるのでは?と感じるかもしれませんが、あくまでもふるさと納税とは「本来納めるべき税金を、住んでいる自治体ではなく任意の自治体に寄附できる」制度です。納めるべき税金が減るわけではありません。
ただし2,000円の負担金で返礼品を受け取れるため、実質的にはメリットを感じられる制度と言えるでしょう。節税にはなりませんが、お得な制度には変わりありません。
ふるさと納税について、詳しく知りたい場合はこちらの記事を参考にしてみてください。
よくある質問
最後に、副業の税金に関してよくある疑問にお答えしていきます。
副業は会社にバレる?
副業がなぜ会社にバレることがあるのかというと、「住民税」の仕組みが原因です。所得税も住民税も、1年間の所得から納めるべき税額が決定します。所得税の場合は、確定申告を行ったときに、増えた所得分の税金を追加で納めます。しかし、住民税を支払うタイミングは、翌年の6月からです。
つまり、副業分で増えた所得の分もまとめて会社に住民税の通知が届くため、会社の担当者に気付かれることがあります。会社で支払っている給与ではありえない金額の住民税の通知が来るからです。
これを避けるためには、確定申告の際に住民税の徴収方法を「普通徴収」にする必要があります。普通徴収にすると、副業分の住民税の通知書が自分宛に届くため、会社にバレることはありません。「特別徴収」を選択すると、給与分の所得と合算されて、まとめて会社に通知がいきます。
ただし、普通徴収を選んでいても自治体が対応していないこともあるので、念のため自治体に電話等で確認をしておくとさらに安心です。特に給与所得の場合は、普通徴収を選べない自治体が多いため注意しましょう。基本的に雑所得か事業所得の場合に、普通徴収を選択できます。
そのほか、会社の就業規則で副業が禁止されている場合、無許可で副業を行うと懲戒処分の対象になることがあります。会社の就業規則で副業が禁止されている場合、安易に副業を行うのはおすすめできません。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告が必要なのにも関わらず行わなかった場合、本来払うべきだった税金に加え、「無申告加算税」や「延滞税」、「重加算税」といった追徴課税(罰金のようなもの)が課せられます。
<追徴課税の目安>
無申告加算税 |
期限内に申告しなかった罰金 |
50万円までの部分:15% 50万円~300万円未満の部分:20% 300万円超の部分:30% ※原則として上記の割合。 調査の通知前に自主的な申告をすると5%になる等、軽減措置も有。 |
延滞税 |
納税が遅れたことに対する罰金 |
納期限の翌日から 2カ月以内:年2.8% 2カ月超:年9.1% ※令和8年の場合。 |
重加算税 |
意図的に所得を隠したなど、悪質な場合の罰金 |
無申告加算税に加え、さらに40%加算 |
所得税のほか、住民税にも延滞金が発生するなど、ペナルティは決して軽くありません。知らなかったでは済まされないので、副業の所得が20万円以上発生した場合は必ず確定申告を行いましょう。確定申告の申告期限は、原則2月16日から3月15日までです。
20万円以下なら申告不要?
所得が20万円以下であれば、確定申告を行う必要はありません。ただし1円でも所得があれば、住民税の支払いのために別途自治体に申告が必要です。
申告方法は自治体によって定められており、窓口への持ち込み、郵送、電子申請などの方法があります。詳細は、お住まいの自治体のWebサイトなどで確認してみてください。申告期限は、原則として3月15日までです。
<申請に必要な書類>
- 住民税申告書(必ず居住地の自治体のものを用意しましょう)
- 所得を証明する書類(収支内訳書など)
- 各種控除に関する証明書(生命保険料控除、医療費控除など)
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
必要な書類は自治体によっても異なるため、必ずご自身で確認してみてください。
赤字になった場合は?
副業の収益がマイナスになった場合は、確定申告や住民税の申告をする必要はありません。ただし、事業所得や不動産所得の場合は、確定申告をすることで、本業の給与所得と損益通算が可能です。
損益通算をすると、副業で発生した赤字と給与所得の黒字が合算されるため、所得が少なくなります。
<例>
総所得=給与所得(300万円)+副業所得(-10万円)=290万円
所得が少なくなれば納める税金も少なくなるため、すでに天引きされている所得税の一部が還付される可能性があります。事業所得や不動産所得で赤字が発生した場合は、確定申告をした方が良いでしょう。雑所得の場合は損益通算ができないため、申告の必要はありません。
まとめ
副業で収入が発生した場合、所得に応じて税金を納めなければなりません。所得が20万円以下であれば確定申告は必要ありませんが、住民税は1円以上でも所得があれば申告義務があります。
所得の種類によって税金の算出方法や節税方法なども異なるため、ご自身の副業の所得がどの区分になるのか、所得はどれくらいになるのかなど必ず確認してみてください。
確定申告をしなかったり不備があったりすると、追徴課税が発生したり会社にバレたりなどの不利益を被ることがあります。副業を行う場合は、会社の就業規則を事前に確認し、収支をしっかり記録して、納税を忘れないようにしましょう。
